著 者:仁木英之
出版社:新潮社
出版日:2011年4月20日 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
「僕僕先生」シリーズの第5弾。元ニート青年の主人公の王弁と、彼が師と仰ぐ仙人の僕僕先生の旅を描く。前作の「さびしい女神」で訪れた苗人の国を発って、「ラクシア」という名の新興王国に着く。
「ラクシア」はラクスという若い王が治める国。「ラクシア」は、ラスクの故郷の言葉で「光の国」を意味する。彼はここに、身分も貧富の差もなく、人々を縛る法さえない、自由な理想郷を造ろうとしていた。王弁の言葉を借りれば「胡散臭い」。
人の心の内側まで見通せる仙人の僕僕先生なら、こんな胡散臭い話なんかすぐに見破れそうだ。しかし今回は、僕僕先生の態度がどうにも生ぬるい。ラクスが言葉巧みに語る理想に、取り込まれてしまったかのようだ。それには、はるか昔の神話の時代の、僕僕先生のの経験が関係していた。
僕僕先生は、今回はあまり活躍しない。もちろん、ここぞという時には、なくてはならない。しかし今回は、王弁を始めとした、僕僕先生の旅の道連れとなった面々が、それぞれの特技を生かして、できることを最大限にして、そのことが事を動かす。
前作に続いて、僕僕先生の素顔が垣間見える。この物語がこの先どこへ向かうのか楽しみだ。それにしても、「理想」とはこんなにも危ういものなのか。
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僕僕先生シリーズ『先生の隠しごと』 仁木 英之
僕僕先生シリーズ「先生の隠し事」
前回、苗族の旱魃騒動をなんとか収め、縁のあった王女の結婚を見届けると、僕僕一行はまた旅を再開します。
『先生の隠しごと』あらすじ
旅の途中、僕僕一行は賊に襲われた村でただ一人生き残った少女・蒼芽香(そうがこう)を助け、旅の道連れにする一方、「諸人の王」を名乗る王ラクスのいる国・ラクシアへ向かいます。そこには人々を縛る税も法も、搾取する官吏もいない。一見王道楽土に見えるこの国だけれど、王弁たちはどこか居心地の悪さを拭えない。
しかし、僕僕先生はラクスの…