鴨川食堂おかわり

著 者:柏井壽
出版社:小学館
出版日:2015年11月11日 初版第1刷 2016年2月1日 第3刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「鴨川食堂」の続編。NHK BSプレミアムで放送されていた、同名のTVドラマは、前作と本書の2冊を原作としたものらしい。

 舞台も物語の構成も前作と同じ。京都の東本願寺近くで鴨川父娘が営む食堂「鴨川食堂」が舞台。ここに来るお客は、記憶の中にだけ残る料理を捜してもらいにやってくる。前作と同じく本書でも6人のお客を迎える。

 わざわざ捜してもらいに来るのだから、その料理にはその人の想いがこもっている。その想いは必ず誰か人につながっている。父親であったり、母親であったり、息子であったり、肉親のそれももう会えない人であることが多い。

 だからお客は料理と一緒に、失った、あるいは見失った絆を捜してもらいに来ているのだろう。鴨川親子は、お客が求めている以上のものを捜し出して、届けてくれる。

 鴨川食堂では、お客に2回料理を出す。1回目は料理を捜す依頼に来たときに「おまかせ」で。2回目は結果報告として捜し出した料理を出すとき。今回、捜し出した料理は「海苔弁」「ハンバーグ」「クリスマスケーキ」「炒飯」「中華そば」「天丼」。

 もちろんそれぞれに工夫された料理なのだけれど、まぁとてもポピュラーな庶民的なものだ。それに対して1回目の「おまかせ」が、とてもとても手の込んだうまそうな料理で、読んでいて唾が湧いてくる。

 「若狭で揚がった寒鯖のキズシ、日生の牡蠣の甘露煮、京地鶏の東寺揚、間人蟹の酢のもん、鹿ケ谷かぼちゃの炊いたん、近江牛の竜田揚げ..」。書いている今も生唾を飲み込んだ。(「酢のもん」とか「炊いたん」とかの関西の言葉が、また一層うまそうに感じる)

参考:NHKプレミアムドラマ「鴨川食堂」公式サイト

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