著 者:重松清
出版社:新潮社
出版日:2013年7月1日 発行 2016年5月30日 3刷
評 価:☆☆☆(説明)
小学館の「小学六年生」に連載された作品に改稿を加えた、文庫オリジナル作品。
タイトルの「星のかけら」とは、「それを持っていると、嫌なことやキツいことがどんなにたくさんあっても耐えられる」というお守りのこと。夜になると街灯や月明かりに照らされて、道路のあっちこっちでキラキラ光っているらしい。
主人公のユウキは小学6年生。学校でも塾でも、いじめにあっている。ユウキを助けてくれる友達もいる。学校では幼稚園の頃からの幼馴染のエリカ、塾では違う学校に通っているマサヤ。「星のかけら」のことはマサヤから聞いた。「おまえには星のかけらが必要だと思う」とも言われた。
ユウキとマサヤは「交通事故の現場に落ちている」と言うウワサに従って、事故があった現場に星のかけらを、暗くなってから探しに行く。そこで、小学2~3年生の女の子のフミと出会う。フミは本物の星のかけらを持っていて、それを街灯の明かりにかざすと不思議なことが起きた...。
小学生向けということもあって、希望の見える物語になっているけれど、いじめや引きこもりや家庭内暴力が「いまそこにある」こととして描かれる。子どもが抱える人間関係の問題を、大人は軽く見がちだけれど、実は切実で重大な問題だったりする。そして場合によっては「死」さえ、子どもたちの身近にあることを、本書は気付かせてくれる。
エリカは、素直でいて大人びてもいる。「よく十二歳まで生きてたなあって思わない?」とユウキに聞くシーンがあって、続けてこう言う。「死んじゃうかもしれないタイミングはたくさんあって、でも、うまい具合にそこにぶつからずに生きてて..そもそもニッポンじゃなくて(中略)そういうことを考えたら、生きてるって、なんか、すごいことだと思うわけ」。私が五十二歳まで生きているのは、奇跡の中の奇跡なのだと思う。
にほんブログ村「重松清のトラバ」ブログコミュニティへ
(重松清さんについてのブログ記事が集まっています。)
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)