スタンフォードの自分を変える教室

著 者:ケリー・マクゴニガル 訳:神崎朗子
出版社:大和書房
出版日:2012年10月31日 第1刷 2014年4月15日 第23刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 2013年ビジネス部門年間ベストセラー第1位(日販/トーハン)など、その年のビジネス書のベストを総ナメにした感のある人気書籍。

 本書は、著者がスタンフォード大学で開講している公開講座「意志力の科学」を、書籍として再現したものだ。それは、大学の一番大きな講堂を受講生で埋め尽くすほどの人気講座だ。この講座では「意志力」を「注意力や感情や欲望をコントロールする能力」と定義している。

 できるだけ講座を再現する意図もあって、本書は、講座の回数と同じように10章からなり、講座と同じように、各章の最後に「意志力の実験」と称して、家でやってくる課題が書かれている。読者は、1週間に1章づつ読み進めて、その間に課題をこなしていけば、「注意力や感情や欲望をコントロール」できるようになるという寸法だ。

 ためになった。講座の修了生のように「人生を変える授業だった」とまでは思わなかったけれど、少し「意志力」が上がったと思う。

 本書の特長を一つ挙げると、「精神論」を極力排して、科学的知見を基に議論を進めたことだ。精神論で闇雲に頑張っても上手くいかないのは当然だ。それどころか、従来の常識を覆すようなことがたくさん分かった。例えば「意志力を強くするためには、もっと自分に厳しくする必要がある」というもの。これは数々の実験で、間違いであることが明らかになっているそうだ。

 それから「なるほど」と思ったのは「瞑想」。前頭前皮質という脳の意志力に関わる部分への血流を増す、という効果があるそうだ。ただし簡単にはできない。すぐ何かが頭に浮かんでしまって「これじゃダメだ」と打ち消して..となってしまう。でも、それでいいそうだ。目標から逸れた自分を引き戻す、との行い自体が、集中力を付けるトレーニングになるそうだ。

 最後にひとつ、5分でできる課題を。「これから5分間シロクマのことを考えないように集中してください」。

 すみません。実はこれは意地悪な課題です。ほとんどの人は、こう言われたらシロクマのことを考えずにはいられないそうです。

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スタンフォードの自分を変える教室”についてのコメント(1)

  1. 読書と足跡

    スタンフォードでいちばん人気の授業 著者 佐藤智恵

    スタンフォードでいちばん人気の授業
    著者 佐藤智恵
    新たな知識を求めてこの本と出逢う。
    スタンフォード大学世界一の大学である。
    世界最難関の学校教えるのは、思いやりと科学である。
    まずはストーリーの力である。
    物語は利益をもたらすものである。
    ストーリーがもたらす3つの効用。
    ①ストーリーは製品や自社のブランドを得るのに大きな威力を発揮する。
    ②イノベーションの指針と……

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