哄う合戦屋

著 者:北沢秋
出版社:双葉社
出版日:2009年10月11日第1刷 2009年11月16日第5刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「のぼうの城」「天地明察」などのヒットで注目を集めることとなった「ネオ時代小説」と呼ばれるジャンルの、代表的な作品のひとつ。

 主人公は石堂一徹。35歳。時代は天文18年(1549年)。甲斐の武田晴信(後の信玄)が南信濃に侵攻して来たころ。舞台はその南信濃に接する中信濃(今の松本のあたり)。信濃国全般に、多くの豪族が独立して小競り合いを繰り返していた時代だ。

 一徹はかつては、北信濃の村上義清に仕える石堂家の当主で、武芸と戦略に秀でていたことから、義清にも重用されていた。しかし、訳あって流浪の旅にで、自らの才覚を生かせる主君を求めて転々としていた。物語は一徹が、横山郷(今の青木村あたり)の遠藤家に辿り着いたところから始まる。

 一徹は戦の天才だ。後半で「こと軍事に関しては、どうやら拙者に勝るものはこの世には一人もいないらしい」などと不遜なことを言う。しかし、連戦連勝してその才能を見せつけられた後では、不遜に感じないぐらいだ。

 ということで、物語は、一徹の到来によって遠藤家が勢力を伸ばし、ついには武田との衝突を迎える様子を、遠藤家の姫とのエピソードを交えて綴る。「ネオ時代小説」は、「歴史エンターテインメント」とも言われるそうだけれど、まさにエンターテインメント性の高い作品だ。

 大河ドラマ「真田丸」の50年ほど前の時代。「真田丸」の舞台となった上田に、峠を挟んで接する場所での物語。戦国時代には、まだまだ知られていない面白い物語がたくさんありそうだ。続編、続々編があるので、それもいづれ読みたい。

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