ぐるぐる問答 森見登美彦氏対談集

著 者:森見登美彦
出版社:小学館
出版日:2016年10月30日 初版第1刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 長編小説「夜行」と同じ日に同じ出版社から刊行。こちらは対談集。作家生活10年を記念して、ということで、その10年間に様々な雑誌等の媒体に掲載された対談をまとめたもの。

 本書の出版元は小学館だけれど、対談の初出の媒体は他の出版社、ということもある。と言うか、確認してみると最近の2点を除いて全部が他の出版社のものだ。幻冬舎、文藝春秋、メディアファクトリー、講談社、早川書房、角川書店、新潮社。出版界あげての10周年のお祝い、という側面もある。

 対談の再録ということになるから、対談相手の了解も必要。そのお名前を順に(敬称略)。劇団ひとり、万城目学、瀧波ユカリ、柴崎友香、うすた京介、綾辻行人、神山健治、上田誠、羽海野チカ、大江麻理子、萩尾望都、飴村行、本上まなみ、綿矢りさ。

 著者自身が「対談の名手ではない」と自信を持っておっしゃっているように、小説の作品のように著者らしいオモチロイことがあるわけではない(巻末の「小説 今昔対談」は著者らしい工夫があるけれど)。しかし、作品を読むだけでは分からない、著者の暮らしぶりや作品執筆の裏側が、会話から見え隠れする。ファンなら楽しめるだろう。

 著者の作品の一群は「腐れ大学生」を描いたもので、著者と不可分に結び付けている人も多い。その嚆矢となったのは、日本ファンタジーノベル大賞を受賞したデビュー作「太陽の塔」だけれど、それはなんと「やけくそで書いて」応募したらしい。

 それまでは「怪談とファンタジーの中間みたいなところをうろうろ」していた。ということは先日の「夜行」や「きつねのはなし」「宵山万華鏡」あたりが、著者がデビュー前から持っていた原点的な方向性だったわけだ。

 最後に本書全般を通して感じたこと。対談相手とよく、互いの作品を分析してみせる。「あの作品はこうなんじゃないですか?」と問いかけると「そうなんですよ!」と、話に弾みがつく場面が多い。相手は作家とは限らないけれど、何かを創作している人で、著者との共通点がある。そういう間柄だと通ずるものがあるらしい。

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