機は熟せり(上)(下)

著 者:ジェフリー・アーチャー 訳:戸田裕之
出版社:新潮社
出版日:2017年1月1日 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「剣より強し」に続く、超長編サーガ「クリフトン年代記」の第6部。

 このシリーズは、主人公のハリー・クリフトンの「クリフトン家」と、その妻であるエマや親友であるジャイルズが属する「バリントン家」の、「クリフトン-バリントン」一族と、それに敵対する人々、という構図を中心に物語が構成される。

 「敵対する人々」の代表格が、ヴァージニアという伯爵令嬢で、ことあるごとにハリーたちを窮地に陥れる。前作の終わりに、ヴァージニアがエマに対して名誉棄損裁判を起こし、エマの圧倒的不利な状況の中で、少しだけ含みを持たせた状態で終わっている。

 そして本書。冒頭、前作の終わりのシーンが3ページ繰り返されて始まる。裁判は、弁護士の機転によって、エマの勝利で終わるが、「クリフトン-バリントン」一族は大きな痛手を被ることになる。

 この後、相変わらず目障りなヴァージニアの言動の他、ジャイルズによる恋人の救出劇や、エマの政界への接近など、ハラハラドキドキのサスペンスが繰り広げられる。そして後半にはハリーにとっての大きな喜びに向けて盛り上がる。ほんとうに飽きない。

 このシリーズは、当初は「全五部」を予定していたものを、途中で「全七部」に構想が拡大された経緯がある。第6部の本書を読んで、さらに拡大されるのではないか?という感想を抱いた。しかし実は、第7部が既に発行されていて、出版社のサイトで「完結」が表明されている。

 あと一つか。感慨深い。

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