子どもはみんな問題児。

著 者:中川李枝子
出版社:新潮社
出版日:2015年3月30日 発行 8月10日 10刷
評 価:☆☆☆(説明)

 著者は中川李枝子さん。名前を聞いてすぐに分かった、という人も多いだろう。「ぐりとぐら」という絵本のことは知っている人はさらに多いだろう。中川李枝子さんは「ぐりとぐら」シリーズの作者。(ちなみに絵は妹さんの山脇(大村)百合子さんが描いている)

 本書は、その中川李枝子さんが20代から30代の17年間、無認可の保育園の保母として勤めた経験を、エッセイとしてまとめたもの。第1章が「お母さんが知らない、保育園での子どもたち」で、最終章が「いいお母さんって、どんなお母さん?」なので、本書は「お母さん」に贈る言葉だと思っていいだろう。

 その他の章は「りえこ先生が子どもに教わったこと」「子育ては「抱いて」「降ろして」「ほといて」」「本は子どもと一緒に読むもの」。著者が保母だったのは50年前後も前のことだから、今の時代に合わない考え方があっても当然かもしれない。例えば「お母さん」を強調するのは「子育てを女性の役割と決めつけている」というお叱りを受けそうだ。

 でも、少なくとも私は読んでいて「あぁそうそう」と思うことが多くて、「お母さん」のことも含めて、不快な感じも古臭い感じもしなかった。それは、著者が子どもたちと真剣に向き合って得た「確かなもの」を感じたからだ。があることと、もしかしたら今の子育ての問題は、50年前の保育園にすでにその萌芽があったんではないか?と思う。

 著者が「ぐりとぐら」を書いたきっかけが明かされている。もう一つの代表作である「いやいやえん」に関するエピソードも紹介されている。「くじらとり」は子どもたちとの合作らしい。我が家の子どもたちも大人になってしまって、長らく誰も開いていない「いやいやえん」を、また読んでみようと思った。

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