ぼくたちは習慣で、できている。

著 者:佐々木典士
出版社:ワニブックス
出版日:2018年6月26日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「習慣」について考え、「習慣」を身につける方法を教えてくれる本。

 「習慣」について考える端緒として、まずは「習慣化に失敗したこと」を考える。例えば新年の誓い。「早起きをして規則正しい生活をする」「運動を定期的に行う」。いろいろあるけれど、失敗することが多い。それはなぜなのか?意志が弱いから?。では「意志が弱い」とはどういうことか?..

 著者は、この「意志が弱い」ことを行動経済学の「双極割引」という概念で説明する。私たちは将来の報酬を過小評価してしまう性質がある。「今日リンゴを1個もらえる」と「明日リンゴを2個もらえる」でも、「今日の1個」を選ぶ人がいる。ましてや運動を定期的に行うことで得る「いつか分からない将来の健康」より、サボることで得る「今日の楽ちん」を選んでしまうのは、もうほとんど仕方がない。

 でも「ほとんど仕方ない」で済ませたら習慣化には至らないので、そこをどうするか?が本書の主題。あの手この手で「双極割引」を乗り越えて「将来の報酬」を選ぶ。やろうかどうか悩んでいるうちはコイントス並みの確率で「やらない」を選んでしまうので、ほとんど考えずに行動するまで何とか続ける。そのコツも書いてある。

 そのコツの実践にも簡単じゃないよね?と思わないでもない中で、誰でもできそうな簡単なコツを1つ紹介。「目標をバカバカしいほど小さくする」。例えば「毎日腕立て伏せを1回」とか。何より難しいのは「やり始めること」なので、そのハードルを極限まで低くする。確かに腕立て伏せを1回やったら、2回、3回...とやってしまえる気がする。

 最後に。「なるほど」と思ったこと。「努力」と「我慢」について。

 「努力」は支払った代償に見合った報酬がしっかりあること。自分で選んでいること。
 「我慢」は支払った代償に対して正当な報酬がないこと。誰かに強制されていること。

 できるなら「我慢」ではなく「努力」をしたい。ただし、その境界はあいまいで、自分でどちらかを決められることもあると思う。

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