著 者:川合亮平 漫画・イラスト:こいけぐらんじ
出版社:KADOKAWA
出版日:2016年11月24日 第1刷 2019年3月5日 第4刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)
関西弁を英語に訳すのは、そのニュアンスまで含めると、関西弁を標準語に訳すのと同じように難しい、と思った本。
著者は大阪生まれの大阪育ち。今はイギリスで俳優さんやミュージシャンらの英語インタビューなどの取材を行うフリーランス。自称「関西弁とイギリス英語のバイリンガル」。編集者から「「なんでやねん」って英語でなんて言うんですか?」と聞かれたことが、本書制作のきっかけ。それをタイトルにするストレートさが気持ちがいい。
全部で6章あるけれど、メインは第1章の「知らんとヤバい めちゃ使うフレーズ50」。コテコテの大阪人やイギリスからの留学生が登場する会話で、関西弁のフレーズの英語訳を紹介する。1フレーズにつき、「会話の日英対照」と「ポイント」「関連表現」「同義語」を、挿絵入りで見開きに収める。NHKの語学講座のテキストをグズグズにした感じだ。「グズグズ」は失礼かもしれないけれど、全編を通した力の抜けたこのグズグズ感が、私は好きだ。
フレーズを掲載順に頭からいくつか。「よう言わんわ」「よう言うわ」「ようせん」「しょうもな」「アホくさ」「おおきに」「しゃあない」「なんちゃらいう」「しばいたろか」「茶しばきに行こか!」「ええかっこしいやな」「イキってる」...。
「茶しばきに行こか!」は、私は22歳まで関西で暮らしていたけれど、一度も使ったことがない。でも有名なフレーズではある。こういうチラホラとそういう「それ誰がいつ使うのん?」というフレーズがあるけれど、多くは日常的に使うものだ。また、そうでないものも、著者が生まれた大阪と、私が生まれた神戸の(外の人からは分からない)違いのせいかもしれない。
ちなみに「なんでやねん」は「Shut up.」。関西弁ネイティブの人からの不満の声が聞こえてきそうだけれど、これは漫才でよくある「ツッコミのなんでやねん」の訳。「なんでやねん」には特別に「グチっぽいなんでやねん」「疑問文のなんでやねん」「ひとり言のなんでやねん」と、他に3つのパターンが紹介されていて、まぁまぁ納得感がある。
他の章は「やさしい活用講座」「関西特有の文化を英語で紹介してみる」「めざせ!英語でツッコミマスター」「よく分かる使い分け」「ちょっとだけ!英語で漫才」。どれもとても興味深い。
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