神々と戦士たち3 ケフティウの呪文

書影

著 者:ミシェル・ペイヴァー 訳:中谷友紀子
出版社:あすなろ書店
出版日:2016年11月30日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)

 山育ちの少年のサバイバル能力がハンパないな、と思った本。

 「神々と戦士たち1 青銅の短剣」「2 再会の島で」に続く、全5巻シリーズの3巻目。舞台は青銅器時代の古代ギリシアで、主人公はヒュラスという名の少年。幼いころに妹と一緒に山で拾われて、以来「よそ者」として暮らしていた。「よそ者がその短剣を振るうときコロノス一族は滅びる」という巫女のお告げのせいで、一帯に勢力を持つコロノス一族から追われ、前作では追い詰められて絶体絶命の危機に陥っている。

 今回の物語は、ヒュラスがケフティウ島にたどり着いたところから始まる。ケフティウ島はヒュラスの友達のピラが居る場所で、神殿がある豊かで大きな島だった。「だった」と過去形なのは、ヒュラスが見た島はうす気味悪く静まり返った生き物の姿が見えない「死の島」だった。どうやら疫病に襲われたようだ。

 ヒュラスはこの島にピラを探しに来た。少し先になるけれど、ヒュラスはピラともハボックとも再会する。望んでもいないのにヒュラスたちを追い回すコロノス一族も島にやってくる(まぁそうじゃないと盛り上がりに欠けるけれど)。物語は、ヒュラスたちのそれぞれを順に、再会後はコロノス一族からの逃避行を描く。この島には意外とたくさんの人がまだ生きていた(味方とは限らない)。

 今回はピラの成長に目を瞠った。ピラの母親は、この島の神殿の大巫女で、島を襲った災難を鎮めるために落命した。大巫女は世襲ではないし、娘だからと言ってその力が備わっているわけではない。ピラは大巫女の母を嫌っていたし、大巫女になることなど望んでもいなかった。しかし、他にはいないのだ...。10代の少女の決断に胸を揺さぶられる。

 ヒュラスとピラが仲良くというか、お互いに「好き」って感じになってる気がする。

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