神々と戦士たち4 聖なるワニの棺

書影

著 者:ミシェル・ペイヴァー 訳:中谷友紀子
出版社:あすなろ書房
出版日:2017年5月30日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 いやこれは大冒険だな。テレビシリーズとかにすると面白そうだ、と思った本。

神々と戦士たち1 青銅の短剣」からはじまる全5巻シリーズの4巻目。物語の時代は青銅器時代。前卷までは古代ギリシアが舞台だったけれど、今回の舞台はエジプト。登場人物の会話の中に、王の「ペラオ(たぶんファラオ)」とか、ジャッカルの頭を持つ「アヌプ(アヌビス)神」とか、古代エジプトっぽい名前が出てくる。

 主人公の少年のヒュラスたちを追うコロノス一族、その運命を握る短剣というのがある。前卷で、ヒュラスの友達で大巫女の娘のピラ、その世話係のエジプト人が、短剣を持ってエジプトに逃げ込んだ。その短剣を追って、ヒュラスもピラもコロノス一族も、遠く船に乗ってエジプトに来た、というわけ。

 そんなわけで、今回の物語は、ヒュラス+ピラのチームと、コロノス一族のチームの短剣争奪戦だ。コロノス一族の方は「ペラオ」に貸しがあるらしく、衣食住に船、密偵までつけてもらっている。ヒュラスたちは乗ってきた船から放り出されて、焼け付く太陽の下で1日分の水袋しかない状態からのスタート。圧倒的に不利で勝ち目がないように見える。

 面白かった。ワニやカバに襲われたり、アフリカの少年に助けられたり。舞台を移すことで、異国らしい展開が得られた。サソリに刺されたヒュラスの手当てをした村人たち、ピラの世話係の出身地で祭祀を行う職人たち、ペラオの命を受けた一帯の支配者、様々な人々が関わってくる。一帯の支配者はコロノス一族の側、職人たちはヒュラスの側、かと思うと、それぞれの思惑で騙したり見捨てたりしたかと思うと助けたり。そう単純ではない。

 ヒュラスのことを「少年」と書いたけれど、14歳だから「少年」でいいのだけれど、表紙に描かれたヒュラスはたくましい青年だ。ピラも14歳で「ふつうなら結婚する年頃」だそうだ。ヒュラスのことを「なにをためらっているんだろう?」なんて考えている。

 あと1巻。さてどうなるのか?

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