アンド・アイ・ラブ・ハー

著 者:小路幸也
出版社:集英社
出版日:2019年4月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「フィクション」と知った上で、筋の通った生き方をしていれば、支えてくれる人にも恵まれるのだなぁ、と思った本。

 「東京バンドワゴン」シリーズの第14弾。東京の下町にある古本屋&カフェの「東京バンドワゴン」を営む、大家族の堀田家の1年を描く。前作「ヘイ・ジュード」の続き。

 いつもと同じ、大小のミステリーと人情話が散りばめられている。前作のレビューで「メンバーの成長や新しいステージへの踏み出しが主に描かれる」と書いた。今回は、主に描かれたのは「別れ」だった。

 上に「大家族」と書いたけれど、堀田家(と隣のアパート)には今は13人が住んでいる。最年長は堀田家当主の勘一で86歳、最年少はひ孫のかんなと鈴花で6歳の4世代。家族以外にも何人かが「家族同然」として同居している。その他に、それぞれの仲間や堀田家を慕って来る人々が大勢出入りする。

 また「別れ」と書いたけれど、この大勢の中の2人が旅立つ。一人は永久の別れに、一人は自分で終の棲家を決めてそこに。いつものように、ミステリーとその解決は小気味よく、人情話はしみじみとしていて、とても心地いいのだけれど、私はこの2つの別れが特に心に残った。

 かずみさんが泣かせる。あなたサイコーです。

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