ヘイ・ジュード

書影

著 者:小路幸也
出版社:集英社
出版日:2018年4月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「東京バンドワゴン」シリーズの第13弾。

 前々作の「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」の続き。東京の下町にある古本屋&カフェの「東京バンドワゴン」。を営む堀田家の1年を描く。

 本書のシリーズは毎回、ミステリーと人情話が散りばめられてエピソードが重ねられる。時には、堀田家の存亡に関わる事件や、親しい人たちが抜き差しならない窮地に陥ることもある。ネタバレになるけれど、今回はそういった方面の大立ち回りではなく、メンバーの成長や新しいステージへの踏み出しが主に描かれる。

 例えば、当主の勘一の曾孫である花陽は医大を受験、花陽の母である藍子は夫の英国人のマードックさんとある決断を。堀田家を物心ともにサポートしてきたIT企業の社長の藤島さんは、高名な書家だった父が亡くなって、実家の後継者に。

 13巻、年に1回のペースで続いてきたシリーズだから13年。物語の中では7年の時間が流れている。元々大家族で、大勢の出入りもある堀田家だけれど、今回は多くの人に異動や決断があって「節目」を感じる。前々々作「ヒア・カムズ・ザ・サン」あたりから成長著しい研人くん(勘一の曾孫)が、さらに存在感を増した。

 最後のシーンで、本書のタイトルでもある、ビートルズの「ヘイ・ジュード」が歌われる。その歌詞を思い出すと、心に染み入る。

 Then you can start to make it better.(そうすれば、きっと良くなるから)

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