イエロー・サブマリン

書影

著 者:小路幸也
出版社:集英社
出版日:2020年4月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 幻の作家の話で家族が盛り上がるのが、微笑ましく羨ましく感じた本。

 「東京バンドワゴン」シリーズの第15弾。東京の下町にある古本屋&カフェの「東京バンドワゴン」を営む、大家族の堀田家の1年を描く。前作「アンド・アイ・ラブ・ハー」の続き。(実は16弾の「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」を先に読んでしまった)

 本書のシリーズは毎回、ミステリーと人情話が散りばめられてエピソードが重ねられる。今回は後半に少しだけ荒っぽいことがあったけれど、全般的に落ち着いた人情話だった。シリーズ通してその傾向はあるのだけれど、意外な人の縁がつながっていく。

 第1章にあたる「夏」の章で、東京バンドワゴンにやってきたお客さん。毎日来る近所の神社の神主さん以外に3人。一人は近所の建設会社の社長。解体予定の建物に血まみれの本が落ちていたとか。二人目は以前は古本屋をやっていたという男性。段ボール箱で3箱の持ち込み。三人目は文学部に通う女子大学生。幻の作家とも言っていい画家と小説家の希少な本を探している。

 いかにも剣呑な血まみれの本のことはともかく、なにげない他の2人の古書店の客も、この後の物語につながって、けっこう大事な役割を一人は担っている。この人は、またいつか別の物語にも登場してくるのだろうなと、それを期待させる気になる(というか、このシリーズにピッタリな)人だった。

 かんなちゃんがスゴイ。研人くんが結婚した。

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