著 者:伊坂幸太郎
出版社:KADOKAWA
出版日:2017年7月28日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
うれしいことに今年は伊坂幸太郎さんの新刊が3冊も出た。本書はその1冊目。
各エピソードの初めに、主人公の名前のハンコのマーク。これで本書が「グラスホッパー」「マリアビートル」に連なる物語だと分かる。そう、殺し屋がたくさん登場する(人がたくさん死ぬ)「殺し屋業界」の物語。帯には「殺し屋シリーズ」と書いてあった。確かに3冊目もあれば「シリーズ」だ。
主人公の名前は「兜」。もちろん「仕事」をするときの名前で、本名は「三宅」というらしい。家族は妻と高校三年生の息子がいる。殺し屋の物語に、家族とのエピソードがあるのは、ちょっと珍しいと思うが、さらに珍しいのは、「兜」が大変な恐妻家であることだ。(そういえば、必殺仕事人の中村主水も恐妻家だったか。意外とあるのかも、この設定)
どのくらい恐妻家かと言うと、「仕事」を終えて帰って来て妻が寝ていたら、腹が減っていてもカップラーメンは食えない、ほどだ。ビニールを破る音、フタを開ける音で、妻を起こしてしまったらいけないからだ。もしそうなったら「大変なこと」になるらしい。
まぁそんな具合で(ちょっと変わった形だけれど)「家族思いの殺し屋」である「兜」は、息子が生まれたころから「仕事を辞めたい」と思っている。簡単に抜けられる業界ではないので「上からの指示」のまま、ズルズル「仕事」を続けている。
本書はそうして「辞めたい」と思いながら、家族のことを気にしながら、妻にビクビクしなが、それでも標的を確実に仕留める、兜の鮮やかな仕事ぶりを描く5つの物語を収録した連作集。
やっぱり面白い。「恐妻家の殺し屋」という設定に、少し面食らったけれど、これが物語に何ともいい味を醸し出すのに役立っている。伊坂作品らしく、伏線としても最後に生きて来る。いつも通りの技ありの作品。
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