著 者:上橋菜穂子
出版社:偕成社
出版日:1996年7月第1刷 1997年5月第3刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
アジアンハイファンタジーというジャンルになるらしい。また、NHKでアニメ化が決定しているらしい。「らしい」と書いたのは、この本を手に取った時には、そんなことは知らなかったので。今、この感想を書くときに書籍データを調べていて知った。
とても良い本に出会えたと思う。この後、何巻も続編がある。読んでみたい本がたくさん現れたことになって、とてもうれしい。
舞台は、新ヨゴ皇国という架空の国。主人公はバルサという名の30才の女用心棒。どうして30才なの?なんで女が用心棒なの?物語の主人公としては異色だと思う。しかし、この異色の主人公の設定が、物語の奥行きを感じさせる要なのだと、読み終わればわかる。
帝が支配する国。この世は2重世界になっていて、こちら側が「サグ」、あちら側は「ナユグ」。サグとナユグは支えあって存在している。あちら側の生き物が、こちら側の子どもに卵を産みつける。そしてそれは、両方の世界にとってとても大切なもので…。バルサはその子どもを、目に見えないあちら側の魔物からだけではなく、こちら側の帝の追っ手からも守る。
ところで、私の知る限りでは、キリスト教をはじめとする宗教では、世の東西を問わず、この世とは別の世界、例えば天国や地獄という考えはあるが、それはこの世とは「別の場所」にある、という風に考えられているように考えられているように思う。
この物語ではそうではなく、この世に重なるように目に見えない世界が存在する。宗教が広まる前の古代は、そういった目に見えない世界が確かに感じられる世界だったのではないかと思う。そんなことを感じさせる本だ。
この本は、本よみうり堂「書店員のオススメ読書日記」でも紹介されています。
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(2010.1.29追記)この本のことを「新しい読書の形「親子読み」の提案」という記事に書きました。