編 者:日本青年会議所
出版社:幻冬舎
出版日:2017年12月5日 第1刷発行
評 価:☆☆(説明)
本書の編者は「公益社団法人 日本青年会議所」。通称「日本JC」。全国に695ある青年会議所の総合調整機関。「修練」「奉仕」「友情」の3つの信条のもと、20歳から40歳までのメンバーが、よりよい社会づくりを目指して活動している。
本書は「教育再生」「経済再生」「安全保障」「憲法改正」「外交問題」「地域再興」の6つのテーマに分類した、66個の質問に対する一問一答。回答者はその質問に相応しいと考えられた、いわば有識者で、全部で23人。
回答の中には「提言」と考えられなくもないものはある。しかし、基本的には質問に対する「答え」。たからタイトルでうたう「66の提言」ではないし、「日本を再生する」という意図も感じられない。そういうものを期待していたので残念だった。
期待したものとは違ったけれど、分かったこともある。それは日本JCの主張だ。一問一答の形式だけれど、「答え」はもちろん、「問い」の立て方にもそれは現れる。例えば「教育再生」の8問目。「なぜ、中国や韓国の言い分がまかり通ってしまうのでしょうか?」。日本JCは、今の日本の教育は「中国や韓国の言い分がまかり通っている」と主張しているわけだ。
「問い」や「答え」に比べると目立たないけれど、誰を回答者に選定したか?にも、傾向が現れる。8問目の回答者は、近現代史研究家の水間正憲さんだ。慰安婦問題に言及した歴史教科書を採択した中学校に、「反日極左」だとして採択中止を求める葉書が大量に送られる事件があったが、それを主導した人物だ。
もちろんこのような「偏向」を、全部の項目に感じるわけではなく、むしろ少数。また「全く偏りのない意見」なんてものは、望んでも得られないのも確か。「日本JC」の主張に興味がある人は読んでみたらいいと思う。
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