定年前後の「やってはいけない」

著 者:郡山史郎
出版社:青春出版社
出版日:2018年4月15日 第1刷 5月10日 第3刷
評 価:☆☆(説明)

 60歳で定年とすれば、私はあと5年あまり。まだまだ「定年前後」ではないのだけれど、一緒に仕事してきた先輩たちが次々に定年を迎え、こういう話題が身近になって、気の迷いで手に取ってしまった。

 著者はソニーの取締役、子会社の社長、会長、ソニー顧問を経て70歳で退職、現在は再就職を支援する人材派遣会社を経営している。80歳を越えてなお現役のビジネスマン。ちなみに著者の前著は「九十歳まで働く!」だ。

 著者の主張を一言で言うと「定年後も働ける限り働け」ということだ。90歳まで生きるとして、夫婦二人で定年後の30年間にかかる費用は約1億円。という試算がある。公的年金が月22万では2000万円ほど足りない。ではどうするか?著者の答えは明快。「働いて稼げばいい」

 定年後に働く、となれば再就職。その時の心得のひとつが「定年前の肩書や年収にとらわれない」こと。定年前の待遇や年収で雇う会社はまずない。前の会社も「そのポジションに給料を払っていたのであって、その人に払っていたのではない」「自分は人材として価値が高いと錯覚してしまっている」と手厳しい。

 その他、人生を45歳あたりで区切って「前半戦(第1ハーフ)」「後半戦(第2ハーフ)」に分けること(昔は「後半戦」はなかった)などは、「あぁそうだな」と思えた。ただし「そうは思えない」ことも多い。それは本書が「どういう人を対象にしているか」に、その原因があると思う。

 この本は「都会のビジネスエリートの男性」を対象にしている。どこにもそうは明言していないけれど、言葉の端々に現れている。第1ハーフが終る頃に「会社の役員になれるかどうかの評価が気になりだす」とか、「身のまわりのことができるようにしよう。円満な夫婦関係のためにも重要だ」とか。

 「都会の」の部分に至っては、「地方への移住」が「生活水準を下げる」方法として挙げられている。地方都市に住んで役員などには無縁の私が「そうは思えない」と感じるのも無理はない。「男性」しか合っていないのだから。☆2つ。

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