鴨川食堂いつもの

著 者:柏井壽
出版社:小学館
出版日:2016年1月9日 初版第1刷 2017年4月8日 第6刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「鴨川食堂」「鴨川食堂おかわり」に続くシリーズ3冊目。

 舞台も物語の構成も前2冊と同じ。京都、東本願寺近くで、流とこいしの鴨川父娘が営むの食堂「鴨川食堂」が舞台。看板も出ていない食堂で、常連客を除けばここに来る客は、料理雑誌に出している「食捜します」という1行広告を見て来る。記憶の中に残る料理を捜してもらうためだ。

 今回もお客は6人。能楽師の家の息子が料亭で食べた「かけ蕎麦」を。漆器の作家が娘が作ってくれたカレーライスを、引退したピアニストがかつて付き合っていた彼が作った焼きそばを、ビジネスホテルの社長が昔に旅館で食べた餃子を、飲食店チェーンの取締役が友人の母が作ってくれたオムライスを、小説家が子どもの頃に食べた近所のお店のコロッケを、それぞれ捜す。

 娘だとか、友達のお母さんとか、作った人が分かっているのなら、その人に聞けば?と思うけれど(実際、こいしははそう言ったりしている)、まぁそれぞれに事情がある。もっと言えば、込み入った事情がなければ、何年も前に食べた料理を人に頼んで探してもらおうとは思わないだろう。お客はみんな「わけあり」だ。

 まぁ捜しだした料理の再現とともに、その「わけあり」の込み入った事情を、流が解きほぐす、というのが本書の面白さ。そうなんだけど…これで3冊で18人分の食捜しが済んだけれど、そろそろ新展開が欲しい感じ。前2冊には流とこいしの身辺の話もあったので、今後はその辺りにも期待したい。

 最後に。初めてにお客さんに出す、流の料理の説明は、挿絵もなくて文字だけだけれど、すごくおいしそうに感じる。新展開は期待するけれど、そこはここまま残して欲しい。

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