著 者:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド 訳:上杉周作、関美和
出版社:日経BP社
出版日:2019年1月15日 第1版第1刷 5月8日 第10刷 発行
評 価:☆☆☆☆☆(説明)
自分の認識の歪みを思いしらされた本。
質問。世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう? A:20% B:50% C:80%。
これは本書冒頭の「イントロダクション」にある、世界の事実に関する13問のクイズの1つ。今や遠い国で起きたことが、私たちの生活にも影響する。遠くの国の出来事や人々の暮らしにも、ちゃんと関心を持っている人なら分かるはずだ。ほんの少しアンテナを高くするれば、そうしたニュースは入ってくるのだから。
それなのに驚くべきことに、各国で行った著者たちの調査では、この質問に対する正解率は平均で13%だ。著者が「チンバンジーに負ける」と表現するように、3択だから当てずっぽうで答えても33%は正解するはずなのに。さらに言えば日本人の正解率はわずか6%、チンパンジーの5分の1以下。情けない。大丈夫なのか日本人?
慰めになるかどうか分からないけれど、これらの質問は、著名な科学者や投資銀行のエリート、ジャーナリスト、政界のトップらに聞いても、正解率は低いらしい。人々は世界についての知識が圧倒的に不足している。
どうしてそんなことになるのか?世界の事実を多くの人が誤認したままでは、誤った対応をしてしまう。それを防いで「事実に基づくありのままの世界を見る」には、どうしたらいいのか?それが本書で著者が伝えたかったことだ。そしてそれは少なくとも私には伝わった。「蒙を啓かれる」というのはこういうことだと思った。
ひとつキーワードだと思うこと。「悪い」と「良くなっている」は両立する。
最後に冒頭の質問の答えを。正解はC。間違えた人は、本書を読んだ方がいい。強くおススメする。私は...もちろん不正解だった。
※読むときには、冒頭の13問のクイズには素直に答えてください。裏読みとかしないように。
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