モネのあしあと

著 者:原田マハ
出版社:幻冬舎
出版日:2021年4月10日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 モネの作品はもちろん他の印象派絵画絵画がふんだんに掲載されていて、これはカラーで見たかった、と思った本。

 「アートミステリー」の傑作をいくつも世に送り出した著者による、クロード・モネの解説本。

 本書は「著者とモネとの出会い」の強烈な体験から始まって、モネが生きた時代と印象派絵画についての解説、モネが19歳でパリに戻ってからの生涯の紹介、小説「シヴェルニーの食卓」について、モネの作品に出会うためのガイドブック、エピローグ、と続く。

 「モネとモネの作品が大好き」という気持ちが、文章のひとつひとつから感じられる。前半の時代や印象派絵画の解説は、アートコンサルタントやキュレーターの経験がる著者だからこその知識と、好きだからこその熱心さが相まって、とても読みやすく気持ちのいい文章になっている。

 私にとっては小説「シヴェルニーの食卓」を、著者自らが語った章が、とてもワクワクした。主人公をブランシュ(モネと同居したオシュデ家の二女)にした理由が明かされているのだけれど、それは著者の「入れ込みよう」を感じさせるものだった。「美術作品とは(中略)アーティストからのメッセージ・ボックス、いわば過去からの手紙のようなものです」という言葉に深く共感した。

 最後に。本書には、第1章の前に「はじめに」と「関連地図」「プロローグ」があり、最終の第5章の後に「エピローグ」と「あとがきにかえて」「参考文献」「施設データ」がある。なかなか始まらないし終わらない。しかし冗長な感じは決してしない。特に終わり方は「著者の話をもう少し聞いていたい」という気持ちがしていて、それに応えてくれたような気がする。

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