三匹のおっさん ふたたび

書影

著 者:有川浩
出版社:文藝春秋
出版日:2012年3月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 タイトルから分かる通り「三匹のおっさん」の続編。前作は、還暦を迎えたおっさん(本人たちは「じいさん」と呼ばれたくない)3人組が、町内の問題を解決する痛快物語。本書も基本路線は同じだ。

 三匹とは、剣道の先生の清田清一(キヨ)、居酒屋の主人で柔道家の立花重雄(シゲ)、工場の経営者でメカにめっぽう強い有村則夫(ノリ)の幼馴染3人。キヨが勤め先の大手ゼネコンを定年退職したのを機に「自警団」を結成、町内の夜回りなどをしている。

 上に「基本路線は同じ」と書いたのにはわけがある。前作は「おっさん萌え」の著者が書いた、ひたすらおっさんがカッコいい話だったが、本書はちょっと違う。本書でも、本屋の万引き事件などを、おっさんたちはカッコよく裁いて見せた。しかし他の幾つかの物語では、3匹は時に影の支え役に回り、時には無力でさえある。その代わりに前作では引き立て役だった、キヨの息子夫婦の健児と貴子などのサブキャラに光が当たっている。

 甘ったれ主婦だった貴子も少し成長する(「あとがき」によると、著者は「続編をやらせてもらえるとしたら貴子の話」と決めていたそうだ)。ヘタレ亭主だった健児もいいところを見せる。シゲの息子の康生も頑張っている。キヨの孫の祐希とノリの娘の早苗は元々いい子だ。

 どうやら著者は、「おっさん萌え」だけでなく、自分が作ったキャラクターたちを愛しているようだ。こんなにみんないいヤツでいいのか?と思うかもしれない。しかし、ため息をつくしかない人物も登場するし、やるせない事件も起きる。3匹のファミリーぐらいは、いいヤツばかりでもOKだと思う。

 巻末の「好きだよと言えずに初恋は、」は、以前に「野生時代」に掲載された短編。早苗の友達の潤子の物語。同級生の男の子が潤子に花の名前を教えてくれる。その理由を聞いた時にピンときた。いやゾゾ~とした。有川先生、この物語はファンへのプレゼントですね。

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三匹のおっさん ふたたび”についてのコメント(1)

  1. 日々の書付

    「三匹のおっさんふたたび」 有川 浩

    「三匹のおっさん」の続編、「三匹のおっさんふたたび」読了!
    いやー、面白かった!(^^)今回もまた痛快でした。
    キヨ、シゲ、ノリの幼馴染のアラ還三人のおっさんたちが、今回もご近所で起こる問題をが華麗に(?)解決。
    しかし今回、ノリさんに見合い話が浮上!
    しかも三匹の偽物現る!
    祭りは無事成功できるのか?
    祐希と早苗の恋と受験の行方は?
    前回は痴漢や小動物への虐待など悪質な犯罪行為が描かれていましたが、今回は万引き、違法ゴミ投棄などご近所トラブルが中心。しかし、身近な犯罪であれば…

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