著 者:三上延
出版社:アスキー・メディアワークス
出版日:2014年12月25日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
累計600万部突破の人気ベストセラーシリーズの第6巻。
4巻に続いてシリーズ2作目の長編。今回は太宰治の処女作品集「晩年」の初版を巡るミステリー。「晩年」はこのシリーズとの因縁が浅からぬる本だ。第1巻で古書堂の店主である篠川栞子は、「晩年」に妄執する古書マニアに襲われて大ケガをしている。
そして、こともあろうにその事件の犯人である田中敏雄が、主人公の五浦大輔と栞子の前に、再び現れる。しかも「晩年」を探し出して欲しいという依頼を持ちかける。あの事件の発端となった「晩年」とは別の「晩年」がある、というのだ。
一見、田中は改心したようだ(というより、目当ての古書を手に入れるためには手段を選ばないけれど「悪人」ではないらしい)。しかし、それは本当か?今回も大輔と栞子の周囲には、危険が影がチラつく。その正体は田中なのではないのか?という疑念が最後まで付きまとう。
読み応えのあるミステリーだった。「晩年」を追う過程で浮上してきた「47年前の事件」の謎解きが絡んでくる。さらに、その47年前の事件には、大輔の祖母や栞子の祖父までもか関わっているらしい。構造がドンドン重層的になってきた。
本当にそんな人がいるのか分からないけれど、狂信的な古書マニアは怖い。最初と最後にだけ登場する、栞子の母の智恵子の存在も目が離せない。次巻が楽しみ。
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
【書評】『ビブリア古書堂の事件手帖6』人間関係図を図解!【ネタばれ注意】
三章構成で3つの太宰治作品『走れメロス』、『駈込み訴へ』、『晩年』が取り上げられるものの、三章で一つのストーリーになっています。とても人間関係が複雑に絡みますので、図示 …
ビブリア古書堂の事件手帖6
ビブリア古書堂の事件手帖6
著者 三上延
空前の大ヒット、驚異のミリオンセラー! 待望の最新刊!!
太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。
違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。
本を追ううちに、二人は……