海辺のカフカ

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著 者:村上春樹
出版社:新潮社
出版日:2002年9月10日発行 9月20日2刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 1999年「スプートニクの恋人」以来の長篇書き下ろし。
 期待を裏切ることなく、村上作品独特のつかみどころのない世界が広がる。灰色の海と灰色の空の境界があいまいなように、夢なのか現実なのか、その境界が見えない浮遊感がただよう。 「僕」と「ナカタさん」の2つの物語が同時に進行し、最後に折り重なる手法も馴染み深い。
 しかし、今回の物語は底が浅いように感じた。まるで、誰かが村上春樹のスタイルを真似て書いたような、しっくりこない感じがする。少年の家出やその他の人の行動に必然性がない。偶然や都合よく現れる登場人物(猫もいた)の導きの繰り返しで、物語が進行する。まるで、ロールプレイングゲームのように。

 それでも、「どうやったらこういう人物を思いつくのか」と思うような、独特の登場人物と設定など、軽めな村上作品を楽しみたい人には良いと思う。

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ガリヴァー旅行記

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著 者:ジョナサン・スウィフト (訳 平井正穂)
出版社:岩波書店
出版日:1982年6月2日発行 1984年6月10日第3刷
評 価:☆☆☆(説明)

 子ども向けのおとぎ話の定番とも言える物語の原作。
 船が難破して、小人国(リリパット)に流れ着いて...という冒険譚は、なるほど子どもが好きそうなワクワクした話だけれど、作者の意図するところは、そんな楽しげなものではないようだ。
 なにしろ毒気が強いなんてものじゃない。リリパット、ブログディンナグ(大人国)、ラピュータと、冒険が進むのにつれて文明批判の度合いが強くなり、最後のフウイヌムでは、完全な人間不信、否定に至るのだから。
 「ガリヴァーの冒険」は、日本だけでなく世界各地で子供向けの話になっているようだけれど、最初に子供向けに焼き直すことをした人は、原作や原作者についてどう考えていたのかと思う。それから、ヤフーという生き物が、フウイヌムで下等なきたならしい人類として登場する。検索エンジンの名前にYAHOO!とつけようと思ったひとは、どういうつもりだったのだろう。

 子ども向けの「ガリヴァーの冒険」は、小人国か大人国で終わりのものが多い。その他の冒険も読みたい人、ラピュータがスタジオジブリの「天空の城ラピュタ」と関係がありそうだと思った人、ガリヴァーが日本にも来たことを確かめたい人にはお勧め。

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ロストワールド ジュラシックパーク2

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著 者:マイクル・クライトン (訳:酒井昭伸)
出版社:早川書房
出版日:1995年11月25日 初版
評 価:☆☆☆(説明)

 大ヒットした映画「ジュラシックパーク」の原作の続編。
 あとがきによると、クライトン氏はめったに続編を書かないそうだ。それなのに続編が出たというのも、映画のヒットが影響しているだろうか?
 一作目よりも、プロットがはっきりしていてストーリーにメリハリがあって面白い。マルカム教授のカオス理論や、動物生態学などを取り込んだことで、ストーリーに厚みが出た。
(例えば、なぜ恐竜が絶滅したのかの新学説や、なぜサイトBという場所で肉食恐竜が繁殖しているのかといった理由などが、妙に説得力がある。)

 映画の方の続編「ロストワールド ジュラシックパーク2」は、サイトBの位置付けと、登場人物の一部が同じである以外は、別の話。映画の方が圧倒的に陳腐でつまらない。こちらの本の方が断然面白い。

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海底二万海里

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著 者:ジュール・ベルヌ
出版社:福音館書店
出版日:1978年8月31日 第8刷
評 価:☆☆☆(説明)

 SFの父、ベルヌの古典的名作。子供向けに書き直された本が多数出版されているが、これは原作に忠実に訳された700ページもの大作。(しっかりした本をつくる出版社、と図書館の人が福音館書店のことを言っていた。)
 科学的な見地からも、緻密に書かれた(と思わせる)科学小説。ただし、海底の生物の描写が緻密なのは良いが、繰り返し繰り返し出てくるのは、はっきり言って苦痛だった。
 それでも、確かに面白い話だった。特に南極の氷の下からの脱出の場面は、非常にスリリングで、息もつけないほど。
 ネモ船長の正体が最後には分かるものと思っていたが、結局謎のまま。相当、現代社会に批判的だったけど、世を恨む認められない天才科学者か?(このくらいの想像は誰にでもできそうだ。あえて書くまでもないか。)
 同名のディズニー映画があるが、原作とはかなり違う。映画では、ネモ船長の娘が出てきて、アロナックス教授と恋に落ちたりするが、原作にはない。また、アロナックス教授には父親がいて、父から認められないという設定もあるが、これも原作にはない。ディズニーらしい、ロマンスと成長物語の味付けをしたというところか。

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