著 者:塩野七生
出版社:新潮社
出版日:2003年12月15日発行 12月20日第2刷
評 価:☆☆☆☆☆(説明)
15巻で完結予定のローマの歴史をつづる12巻目。211年のカラカラ帝の即位から284年のカリヌス帝の謀殺までの73年間の歴史。
タイトルの通り、ローマ帝国の迷走ぶりが描き出されている。現役の皇帝が捕らえられてしまったかと思うと、帝国の西(ガリア)と東(シリア)でそれぞれ独立運動があり、帝国は3つに分断されてしまう。その間にも北方のゲルマン民族は、絶え間なく侵入してくるといった始末。
そして、何よりも迷走を表しているのは、この73年間の間に22人もの皇帝が即位しては消えていること。ローマの皇帝は終身であるから、全員が皇帝になってまもなく死んでいるわけだ。それも、何かをやり遂げる前に殺されることが多い。良い政治を行っていてもつまらないことで殺されてしまう。3つに分断されたローマ帝国の再統合を成し遂げたアウレリアヌスは、厳しく叱った秘書に殺されてしまう。もう少し長く皇帝を務めていれば、ローマを再興したかもしれない。歴史で「もし...」は言っても仕方のないことだけれど。
わずか100年足らずの間に、仮にも皇帝になるような人材を次々と失っては、如何に当時の世界帝国であっても、人材の枯渇を招かずにはいられなかっただろう。
にほんブログ村:塩野七生「ローマ人の物語」ブログコミュニティへ
(塩野七生さんについてのブログ記事が集まっています。)
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)