惑星の暗号

著 者:グラハム・ハンコック (訳:田中真知)
出版社:翔泳社
出版日:1998年11月10日発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「神の刻印」でアークについて、「神々の指紋」で失われた文明について、「創世の守護神」ではスフィンクスについての新説を唱えた著者。これまでは、全面的に信じるということはできなくても、面白く読むことはできたし、そうなのかもしれない、と思えた。
 けれども、この本はどうだろう。火星の表面に人面の構造物やピラミッドがあるという話から入っているのがいけないのかもしれない。マリナー9号が撮影した写真に写っているもののことで、確かにそのようなものが写っている。著者としては、NASAが言うような自然の産物ではない、と言いたいのだろう。
 しかし、そのために、どことどこの点を結ぶと19.5度の角度ができ、これは球の中で正四面体の底が接する緯度と同じで、地球上の2つのピラミッドと真南の線でできる角度と同じだとか、どことどこの点の距離は火星の直径の360分の1だとか、あれこれ説明している。これは素直に受け入れられない。それらが偶然ではない可能性は否定しないけれど、それだけは説得力がない。
 後半の天体衝突についてはまだ良かった。これは可能性も説得力もある(少なくとも私から見て)。光学的な観測では、真っ黒な彗星が接近してきた場合には発見は困難だろう。太陽の方向から近づいてきたとしたら、観測ができない。こうした彗星や小惑星の運動の可能性は排除できない。実際、過去には地球にも天体衝突があったようだし、1994年には木星に彗星が分裂して衝突することが実際に起きているのだから。

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