アーサー王と聖杯の物語 サトクリフ・オリジナル2

著 者:ローズマリ・サトクリフ (訳:山本史郎)
出版社:原書房
出版日:2001年4月4日初版
評 価:☆☆☆(説明)

 「アーサー王と円卓の騎士」の続編。続編と言っても、設定、登場人物を同じにした別のお話という感じ。アーサー王伝説自体が、様々なエピソードの集合体であるから、仕方ないのだろう。
 今回は、聖杯を求めて円卓の騎士たちが旅に出る。探し求めるものが聖杯であるだけに、魔術的な雰囲気が色濃く漂う。これは、アーサー王伝説の下地となっているケルト人の伝説を反映したものだと思われる。400年も生きて魂の救済を待ち続けた王や、騎士たちを導く無人の船などが登場する。
 全編に漂う物悲しさは何なのだろう。150人いる騎士たちの半分は死んだり、重傷を負ったりしてしまう。不慮の事故や誤解から仲間に殺されてしまう者もいる。聖杯の探求を成し遂げたガラハッドは、この世の神秘を見たとして、あまりの衝撃のために生身のままでは生き続けられなくなってしまう。(生身でなく生きるとはどういうことなのか?)ガラハッドたちを導くために血を捧げたアンコレットは死んでしまうし。
 このもの悲しさは、キリスト教の自己犠牲の精神に対して感じる悲しさというか、一種の違和感なのかもしれない。キリスト教の信仰心があれば、また違った思いを持つのかもしれない。

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