時の町の伝説

著 者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:田中薫子
出版社:徳間書店
出版日:2004年6月30日初版
評 価:☆☆☆(説明)

 魔法使いを主人公とした話に定評があるジョーンズの「時空」を話の中心に据えたファンタジー。読み終わって良く思い直すと、今回は魔法が使われていない。魔法のような不思議な出来事は起きるけれど、それは「科学」として説明されている。もしかしたら、「魔法」と「科学」は近いものなのかもしれない。

 複数の世界が並行して存在するという「パラレルワールド」の考えは、同じ著者のクレストマンシーシリーズでおなじみだし、その他のSF小説でも時々お目にかかる。
 しかし、本書では時系列に直列した世界がお互いに干渉しあいながら存在している、という発想。そして、その直列した時系列空間からは独立して「時の町」がある。この街が今回の主な舞台。
 「時の町」は、世界の歴史がキチンと進むように管理している。この街の「時の門」を使えば、石器時代から百世紀ぐらいまでの好きな時代に行ける。この話だけでもこの町が高度に科学が発達していることが分かる。

 ストーリーは、20世紀が不安定になって、世界のリズムがおかしくなってきた、ということが事の発端になっている。まぁ、タイムトラベルもの、と言ってしまえばそれまでだ。過去を変えると未来が大混乱に陥る、それを防ぐために悪党を追いかけるタイムパトロール、これもよくある話ではある。
 しかし、「時の町」という時間から独立した場所で起きる事件だけに、スケールが大きい。ジョーンズの他の小説と同じく、子供たちが活躍するし、コミカルなシーンもあり、楽しく読める。

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