著 者:伊坂幸太郎
出版社:新潮社
出版日:2010年3月25日 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
本書は2006年から2007年にかけて、いくつかの地方新聞に掲載された、いわゆる「新聞小説」に加筆修正したもの。発表の時期的には「ゴールデンスランバー」の直前。著者自身のあとがきによると、「あまり好きな表現ではない」と断りながら、「ゴールデンスランバー」以降が第二期と呼べるかもしれない、とある。つまり本書は、著者の第一期最後の作品なのだ。
このブログで度々触れているが、気の利いた会話や愛すべきキャラクター、そして巧みな伏線が著者の作品の人気の理由だと思う。そしてそれは著者がいう第一期の作品に色濃く出ていた。当然、第一期最後の作品である本書にもその特長が強く出ている。
主人公は高校2年生男子の由紀夫。成績は優秀、バスケの選手でスポーツ万能、どうやら腕っぷしも強いらしい。女の子の扱いも上手くて、まるで昔の少女マンガの「あこがれの先輩」みたいな人物造形だけれど、なぜかイヤミがない。読んでいて不思議なことに「普通の男の子」に感じられる。
普通でないのは由紀夫の家族だ。彼には父親が4人いる。大学教授の悟、中学の熱血体育教師の勲、ギャンブラーの鷹、元ホストの葵、の4人だ。詳しい事情は省いて、とにかくこの4人の父親と母親と由紀夫の6人で暮らしている。
子は親に似ると言われるが、由紀夫はこの4人の父親のそれぞれに似たのだ。その結果が上に書いた人物造形なのだ。イヤミがないのは、もったいぶったところのない鷹に似たからだろうか。いや、もったいぶったところがないのは4人ともかもしれない。
正直に言って読み終わった直後は、すごく面白いとは思わなかった。私が大好きな「伏線」は、方々に配置してあって堪能したけれど、もう少し何かが欲しかった。リアリティには欠けるかもしれないが、「面白ければOK」だと思う私はそれは求めてはいない。強いて言えば期待が大きすぎたかも。出会う人、横を通る車、それら全部を「伏線かもしれない」と思って記憶しておこうとしたのがいけなかった。
読み終わってしばらくして本書を眺め直すと、これはやっぱり面白かった。そしてこれは理想の父親を描いた作品だった。由紀夫は、優しく素直な性格故に、大小さまざまな事件に巻き込まれるのだけれど、心強いことに彼には頼りになる父親が、それも4人もいる。(いや、4人いてやっと「理想の父親」が完成ともいえる)。
「オー!ファーザー」には、いろいろなニュアンスが込められているが、ピンチの時に現れた父親への「あぁ父さん」という安堵と喜びの言葉でもある。
コンプリート継続中!(単行本として出版されたアンソロジー以外の作品)
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伊坂幸太郎 「オー!ファーザー」
待望の伊坂幸太郎の新刊です(^−^)b
2006年から2007年まで地方紙に連載されてた新聞小説で、噂では単行本にはならないんじゃないかと心配だった作品
即購入。
じっくり読みました。
http://www.shinchosha.co.jp/book/459604/
【宣伝コピー】
すべての伏線がつながるこの快感!伊坂エンタメの技の冴えを、とくとご覧あれ。
みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。なんたって我が家は、六人家族で大変なんだ。えっ、そんなの珍しくないって? まあ聞いてよ、母一…
「オー!ファーザー」 伊坂幸太郎著 新潮社
主人公は高校2年生の由紀夫。恋多き母親のせいで、4人の父親を持つ身だ。ギャンブ
伊坂幸太郎『オー!ファーザー』
まるで漫画のような設定です。
「高校生の由紀夫には父親が三人いる。
かつて母親が四又をかけていた時に産まれたのが由紀夫、四人とも自分が父親に違いないーと喜び、一人の母親と四人の父親と暮らしている。
溺愛されているが、ちょっと鬱陶しいと思っている由紀夫…
「オー!ファーザー」伊坂幸太郎
「オー!ファーザー」伊坂幸太郎
高校生の由紀夫には、4人の父親がいる
それぞれの父親の”教え”を胸に
高校生活を送っている。
母が長期出張中、試験中な由紀夫に
面倒な出来事が降るかかってくる。
第1期最後って位置づけらしい
「ゴールデンスランバー」からが2期
これは、数年前に新聞で連載されてたモノ
やっと読める!
4人の父親がいるって設定。
こういう、ありえなさそうな設定で進む感じ、、楽しい!
ただ、いるってだけじゃなくて、
由紀夫を形づくるのに、
4人が大きな影響を与えていたりするの…
どうもー
伊坂さんってどうしても
”期待のハードル”高くなっちゃいますよね
もうちょっと気楽に読めたらなーなんて思いました。
とはいえ、
やっぱ、次、楽しみにしてしまいます(笑)
じゅんさん、コメントありがとうございます。
期待のハードルが高くなるって、まったくその通りですね。
特に私は、早い時期に「ゴールデンスランバー」を読んでしまって
そのあとしばらくは、どうしても較べてしまって困りました。
どの作品も楽しんだんですけれどね。
YO-SHIさん、こんにちは。
私は最近の混沌とした伊坂さんの作品も実は好きなんです^^
「オー!ファーザー」は、伊坂さんお得意の分野だったので
伸び伸びと描きすぎちゃったのかな?
面白いけれど、物足りないですね^^;
いつまでも同じタイプの小説では読者にも飽きられてしまうし
きっと本人も納得しないでしょう。。
そういう意味で、「表現する仕事」というのは大変ですね;;
つぐみさん、コメントありがとうございました。
伸び伸びと描いた、って感じが確かにしますね。
4人のお父さんのキャラなんて、楽しんで書いているのが
伝わってくるようです。
伊坂さんの最近のインタビューなどを読むと、
「変えよう」という意識がとても強いように思います。
「SOSの猿」で、やりたいことができたようなことを
おっしゃっていたので、これから楽しみです。
オー!ファーザー
伊坂幸太郎 著
オー!ファーザー<伊坂幸太郎>−本:2010-36−
オー!ファーザークチコミを見る
# 出版社: 新潮社 (2010/03)
# ISBN-10: 4104596043
評価:88点
内容(「BOOK」データベースより)
みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ、母一人、子……
オー!ファーザー / 伊坂幸太郎
面白かった〜!やっぱり伊坂さんはこうでないと!!
===== amazonより
みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、……
YO-SHIさん こんばんは。
親は子に似るといいますが、これは大変ですよね…(^_^;)
親にかまわれる時間も多くて、勉強する時間がなかったりして。
でも、それでいていいバランスがとれていますよね。
その書き方が伊坂さんのうまいところだったと思います。
ほんと、楽しかった1冊でした。
たかこさん、コメントありがとうございます。
親にかまわれる時間も多くて..というのはその通りですね。
私も子ども2人の父親ですが、毎日一定時間子どもをかまってますね。
(かまわせてもらってる?)あの時間が4倍になったらたいへんかも。
楽しい1冊でした。たかこさんのブログへのコメントにも書きましたが
伊坂さんには、もっとこういった物語を書いて欲しいです。
オー!ファーザー (a family)/伊坂幸太郎
やっと届いたリクエスト本。
本の表紙には「リクエスト者が、多数おられますので、読書後は、早めにお返しください。」のお言葉。
延滞常習者のワタシにプレッシャーをかけてるんですね・・・。
普通の高校生、由起夫には4人の父親がいる。
賭け事の好きな鷹、元ホスト女性にもてる葵、マッチョな中学教師の勲、冷静な大学助教授の悟。
四股をかけられていた四人は、彼女の妊娠がわかったとき、父親が誰かはっきりすることよりも、四人一緒でも、母と暮らすことを選んだのだ。
確かに変わった状況だけど、どん…
伏線の妙
小説「オー! ファーザー」を読みました。
著書は 伊坂 幸太郎
4人の父親がいる高校生の主人公
変な事件に巻き込まれて・・・
あとがき でも書いてあったが 最近の