モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

著 者:ダニエル・ピンク 訳:大前研一
出版社:講談社
出版日:2010年7月7日
評 価:☆☆☆☆(説明)

 R+(レビュープラス)様にて献本いただきました。感謝。今回は、発売直前の先行レビューということで、全300ページの本の内187ページまでのゲラ(再校紙)を送っていただきました。

 「ハイコンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代」の著者の新刊。前著では時代が「情報化の時代」から「コンセプトの時代」へ移り、そこで求められる「感性」を明らかにした。現状を看破し将来を洞察した素晴らしい本だった。ただ、これからはさらに高度なスキルを身に付けなければ、職を失うか抑制された賃金で働くしかなくなるのかと、少しブルーな気分にさせた。
 そして本書。タイトルの「モチベーション3.0」は、人々を動かす動機付け(モチベーション)の最新バージョンを表す。つまり、原始時代からの生存本能に基づくものが「1.0」、工業化社会以降現在まで続く「あれをやれば(やらないと)これを与える(罰する)」という「アメとムチ」による動機付けが「2.0」、そしてこれからの(いや随分前からすでに)人々を動かす新しい動機付けが「3.0」というわけだ。

 「2.0」で有効だった、「報酬」という「アメ」が生産性を上げるとは限らない、「罰則」という「ムチ」が行動を抑制するとは限らない。「早く解決したら賞金を出す、と言ってパズルの問題に取り組んだグループは、何も約束されていないグループよりも答えに到達するのに時間がかかった」「保育園の迎えの時間に遅れたら罰金、という制度を取り入れたら、時間に遅れる率が倍になった」、どちらも本書で紹介されている実験結果だ。
 では、「アメとムチ」に代わる、今現在人々を衝き動かしている「3.0」とはどういったものなのか?それは、自らの意思によるもの(自律性)、もっと上手にやりたいと思う気持ち(熟達)、より大きな目的に繋がっていると感じることの3つを要素とする。つまり自身の内面から湧き上がってきたり、行為そのものに内包される「内発的な動機付け」だ。

 本書ではこういったことが、私が読んだ187ページまでに、「予想どおりに不合理」の著者のダン・アリエリーさんの研究を含めて、実例を豊富に紹介しながら、それがとても分かりやすく紹介されている。実を言うと、この概略が知りたければ著者自身が熱を込めて解説している動画を今すぐに見ることができる。TEDというグループのカンファレンスで講演した動画が日本語字幕付きで公開されているのだ。
 しかし、動画を見れば本書を読まなくてもいい、というわけにはいかない。動画では「では、どうすればいいか?」が語られていないし、本書の目次を見るとそれは188ぺージ以降に書かれているらしい。R+(レビュープラス)さんも罪作りなことをするものだ。続きが読みたい。

TED Talks:ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」

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5つのコメントが “モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか”にありました

  1. おでこのめがねで読書レビュー

    モチベーション3.0 (ダニエル・ピンク 訳:大前 研一 )

    レビュープラス様より献本していただきました。どうもありがとうございます。 さて、今回は初の試みとなるゲラ刷り段階での献本である。ゲラ刷りは、発売前の最終チェックを行うための原稿であろう。なので、ここでは誤字脱字のチェックもチョットしてみた。といいつつも、”…..

  2. YO-SHI

    れもんさん、コメントありがとうございます。

    おぉ、れもんさんも同じものをお読みですか。
    きっと同じレビュー企画に参加されているのですね。
    だとすると、もうすぐ締め切りですね。

    れもんさんのレビューを楽しみにしています。
     

  3. ビジネス書で「知」のトレーニングを! ~ 知磨き倶楽部

    [紹介] モチベーション3.0

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    今回、R+(レビュープラス)様よりゲラ刷りの段階で(全体の一部を)献本いただいたので、取り急ぎ発刊前に感想をお伝えしておきたい。
    ※ R+(レビュープラス)様には貴重な機会を提供いただき、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
    まず、今…

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