ストラヴァガンザ 星の都

書影

著 者:メアリ・ホフマン 訳:乾侑美子
出版社:小学館
出版日:2005年8月1日 初版第1刷発行 
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「仮面の都」に続く、「ストラヴァガンザ」三部作の2作目。前作のレビューにも書いたが、時空を越えて別の世界に旅することを「ストラヴァガント」と言う。前作では、21世紀のロンドンに住む15歳の少年のルシアンが、16世紀のヴェネツィアに似た都市、ベレッツァに「ストラヴァガント」してきた。今回は同じく21世紀のロンドンから、15歳の少女のジョージアが「ストラヴァガント」してくる。

 ジョージアがやって来たのは、ルシアンが来たベレッツァと同じ時代の別の都市のレモーラ。レモーラとベレッツァは同じタリアという国内にある。そして、レモーラは前作でベレッツァの支配を目論んで、ルシアンらと激しく対立していた、キミチー家が支配している。
 ジョージアは、ロンドンでの生活に問題を抱えていた。義兄からの執拗ないじめを受けていたのだ。そのジョージアの楽しみは、2週間に1度の乗馬のレッスン。彼女は馬が好きなのだ。そして、レモーラは「星競馬」と呼ばれる年に1度の競馬を中心に人々が暮らす街。彼女がこの街に来たのは偶然ではない。彼女はこの街に来て果たすべき役割がある。

 本書には、キミチー家の家系図が付いている。それは、その登場人物がやたらと多いからだと思う。前作からの流れもあり、一見すると主人公のジョージアに敵対する一族ながら、準主役級の人物も何人かいる。一般的に言って、敵役の描写は平面的になりがちだと思う。しかし本書は、章や節ごとに描く人物を変えて、キミチー家の人々にもページを割き、くっきりした人物像を浮かび上がらせている。それが、前作以上に物語に厚みを与えているし、おそらくは次作「花の都」への導入にもなっているのだろう。

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4つのコメントが “ストラヴァガンザ 星の都”にありました

  1. 十六夜

    こんにちは(*^_^*)
    色々ご心配をおかけしたようで・・・
    思った以上に、精神的にしんどかったんだな~と今さらですが思いました

    >次作「花の都」への導入
    さすが、YO-SHIさん
    鋭いです!
    キミチー一族って敵役なのに人間臭いというか、なんか憎めないんですよね(^_^;)
    「花の都」はオールキャスト勢揃い!といった感じですのでお楽しみに!

  2. YO-SHI

    十六夜さん、コメントありがとうございます。
    この本を紹介してくださった方からのコメントは、うれしさも格別です。

    精神的にしんどかった時期は一段落されたんでしょうか。
    そうであれば何よりです。

    第一部の「仮面の都」だけでは、悪の権化のように思えるニコロ公爵も
    「星の都」では、想像外の側面を見せました。その他のキミチーも然り。
    この作家さん、なかなかやるな、と思いました。いい本を紹介して
    いただきました。感謝します。

    「花の都」はオールスター勢揃い!ですか。読むのが楽しみです。
     

  3. YO-SHI

    こっこさん、コメントありがとうございます。

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