貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

著 者:ジェーン・スー
出版社:幻冬舎
出版日:2014年7月25日 第1刷 8月31日 第5刷
評 価:☆☆☆(説明)

 昨夏に本書が発売された後に、ひとしきりマスメディアで話題になった。例えば、夜のニュース番組で、キャスターが紹介していた。本の発売をニュース番組で伝えることなんて、村上春樹さんの作品ぐらいしか覚えがないので、ちょっと驚いたので覚えている。タイトルもキャッチーだし、機会があったら読んでみようと思っていた。

 著者のジェーン・スーさんは日本人。1973年生まれ、東京生まれ東京育ちの女性。自称「40代・未婚・子ナシ・ワーカホリック女」。その彼女が自らの経験と、鋭い観察眼や分析力を駆使して、「女子」について語る。いや「女子」を、時には剃刀のように切り裂き、時には大斧を振りかぶってブッタ斬る。

 タイトルの「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」は、全部で34項目ある内の最初の1項目に過ぎない。ただ「女性性(女性の性質・性格)」は、本書を貫くテーマとなっている。だから「貴様いつまで女子で..」は、本書のテーマのシンボル的にはなっている。ちなみに「何歳までが「女子」なのか?」に対する著者の答えは明快。「女は生涯、いち女子」「加齢すれども女子魂は死せず!」だそうだ。

 正直言って読でいて疲れた。つまらないというのではない。文章から絶え間なく発する感情の波に参ってしまう。著者はある時期まで、「可愛い」とか「メールの絵文字」とか「ピンク」とか、女性と関連付けられやすい様々なことに反発していたようだ。ユーモアに紛れてネガティブなパワーが届く。

 そうした「女性性」に斬りこんだかと思うと、返す刀でノラクラしている男にも斬りかかる。こんなにアチコチで刃物を振り回すようなマネをしていたら大変だったろうと思う。四十路を迎えていろいろなものに折り合いをつけたようなので、まぁ一安心だけれど。

 ユーモアがあって、読み物としてはけっこう面白いので☆3つ。でも、内容に共感できることはほとんどなかった。テーマが「女性性」なので、男性と女性とで本書の受け取り方が違うのだろう。知り合いの女性は、共感することもあったと言うし。

 最後に。40代の著者の思いは、もっと年上の女性(例えば60歳とか70歳とか)から見ると、どう見えるのかなぁ?と想像してみた。根拠はないけれど「まだまだお子ちゃまねぇ」ぐらいのことを言ってくれそうな気がする。

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