著 者:瀬谷ルミ子
出版社:朝日新聞出版
出版日:2011年9月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
著者は「日本紛争予防センター」という認定NPO法人の事務局長(発行当時。現在は理事長)。活動内容は「紛争予防・平和の推進を図る活動、国際協力の活動...」。世界中で起きる紛争を相手に、その解決や予防に力を尽くそうという団体。私は、そのような団体が日本にある、という事から認識を改めなくてはならなかった。
本書は、群馬の「クマが出るような村」での、著者の子ども時代から書き起こす。その後、ルワンダの難民キャンプの写真との出会い、高校3年生の時に人生の目標を決める。その目標は「紛争解決の専門家になる」
そして日本と英国の大学で学び、NGOの駐在員としてルワンダに赴任することになる。ここまでページ数で言うとわずか30ページ。このスピード感が、そのまま著者の生き方でもある。とにかく「迷いがない(ように見える)」
この後は、数多くの「現地」での体験が綴られている。ルワンダの次はシエラレオネ、その次はアフガニスタン、その次はコートジボワール、ソマリア、ケニア、南スーダン、バルカン地域。その先々で困難に会い、時には打ちのめされ、追い詰められる。そのたびに「退路を断って」「あと一歩だけ進んでみる」。こんな生き方、ほとんどの人はできない。
著者は「本当の戦争の話をしよう」の、伊勢﨑賢治さんとも一緒に働いたことがある。同じようなエピソードを紹介している。アフガニスタンで武装解除にあたっている時「日本が言うから、信頼して武器を差し出すんだ(アメリカやイギリスに言われたら、撃ち殺してやる)」、兵士たちにそう言われたそうだ。
最後に。著者は2011年にNewsweek日本版で「世界が尊敬する日本人25人」に選ばれた。日本が「戦争をしない国」であることと、著者のような日本人が世界で貢献していることが「日本への信頼」につながっている。そのことを、私たちは肝に銘じて意識すべきだと思う。
参考:著者のブログ「紛争地のアンテナ: 瀬谷ルミ子のブログ」
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