著 者:誉田哲也
出版社:文藝春秋
出版日:2007年7月25日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
本好きの知人の何人かが「面白いよ」と言っていて、本書のことは何年も前から知っていた。先日読んだ有川浩さんの「倒れるときは前のめり」でも紹介されていて(続々編「武士道エイティーン」の文庫版の解説は有川さんが書いておられるそうだ)、いよいよという感じで読んでみた。
主人公は磯山香織と西荻早苗の2人の高校生。共に東松学園高校女子部の剣道部の部員。本書はウラ若き女子高校生の、剣道にかける青春を描いたものだ。時期的には高校入学前から高校2年の夏まで。
香織が、ちょっとぶっ飛んでいる。「全中(全国中学校剣道大会)2位」という実績の持ち主。3歳で剣道を父親から習い始めた。宮本武蔵を「心の師」と仰ぎ、「五輪書」が愛読書。自らを「兵法者」と位置づけ、剣道は「斬るか斬られるか」だと思っている。
早苗は、ずっとフェミニンな感じ。子どもの頃から日本舞踊を習っていて、その経験が生かせるものを..と、中学から剣道を始めた。本当に日舞の経験が生きたのか、メキメキと上達している。実は、磯山さんに勝ったことがある。
これは面白かった。考え方も性格も違う2人が、寄り添っていく感じがいい。まぁ早苗の性格と努力なしでは、そうならなかった。香織が自分が通った道場の空気を称して言った「磨ぎたての刃のような」は、まさに香織自身がまとった空気でもある。これでは、周囲も自分も傷つけてしまう。
香織と早苗を見ていて、あさのあつこさんの「バッテリー」の巧と豪を思い出した。。そのレビューで私は、「そうは言っても巧君よ..」と書いているが、今回も「そうは言っても香織さんよ..」と思った。
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『武士道シックスティーン』 誉田 哲也
剣の道に精進する女子高生たちの青春武士道ストーリー、「武士道シックスティーン」。柔と剛、対称的な二人の女子が刺激しあい、時にはぶつかってお互いの剣道を高めていきます。
武士道シックスティーン あらすじ
全中学女子準優勝の香織は、消化試合として出た市民剣道大会で東松中学の無名の選手「甲本」に敗れた。自分の負けた理由が分析できない香織は、「甲本」が進学したであろう、剣道の名門、東松高校女子剣道部へ進む。
はたしてそこには香織の目指す「敵」がいたのだが、その「敵」、甲本(西荻)早苗は、のほほ…