みみずくは黄昏に飛びたつ

書影

著 者:村上春樹 川上未映子
出版社:新潮社
出版日:2017年4月25日 発行
評 価:☆☆☆☆☆(説明)

 川上未映子さんが村上春樹さんに聞いたインタビュー。合計で4日間、時間にして11時間、文字数にして25万字。空前のスケールと言っていい。村上さんは、過去にも長いインタビューを受けておられて、雑誌「考える人」の2010年夏号に、70ページほどの3日間のロングインタビューが載っている。私はその長いインタビューを「すごい」と思ったが、今回はそれを超える。

 「今回はそれを超える」のは、時間や文字数といった量的なことだけでなく、聞いた内容の「特別さ」においてもそうだ。今回の聞き手は川上未映子さん。「乳と卵」で芥川賞を受賞した作家さん。つまり村上さんの同業だ。帯には「作家にしか訊き出せない、作家の最深部に迫る記録」と書かれている。

 確かに創作のこととか、メタファーのこととか、今まで聞いたことのない話がたくさんある。また川上さんは、少女時代からの村上作品の熱心な愛読者だという。作家だからなのか、愛読者だからなのか、川上さんのパーソナリティによるものなのか、それは分からない。けれど「そんなことを、しかもそんな聞き方する?」という質問がバンバン飛び出している。

 たとえばこんなのがある。

 これまでと現在を振り返って「俺ってやっぱすごかったんだなー、とくべつだったんだなー」みたいな気持ち、ない?これはありますでしょ、少しくらい(笑)。

 それから川上さんが「本当ですか?」と聞き返す場面も多い。たとえばこんな感じ。

 川上:「騎士団長殺し」という言葉が絵のタイトルだとわかったのはいつですか。
 村上:それはずっとあとのことです。ずっとあと(笑)。穴を開いたあとで。
 川上:それはマジですか。
 村上:マジで。

 この紹介だと「年下の女の子が、大先輩の大作家に軽いノリで聞いてる」だけ、と受け取られかねないので、付け加える。川上さんの村上作品への傾倒ぐあいと知識はハンパじゃない。村上さん本人より数段詳しい。例えば、「笠原メイっていくつでしたっけ?」って村上さんに聞かれて「笠原メイは十六歳。学校に行かなくなった高校一年生です」って、即答したぐらいだ。

 自分の作品に対する傾倒と、作家としての実力を、村上さんが認めた上で、その率直さまでも気に入ったからこそ、上に書いたような受け答えが実現したのだ。「インタビューを終えて」で村上さん自身が「「もっとこの人と長く話してみたいな」という気持ちを強く持った」と書いている。

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