「ミライの兆し」の見つけ方

著 者:御立尚資
出版社:日経BP
出版日:2019年9月24日 初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 出版社の日経BPさまから献本いただきました。感謝。

 視野を広く持ち、ちょっとした変化にも注意深くありたい、と思った本。

 本書は、著者が日経ビジネス電子版に、2010年4月から2019年1月まで連載したコラム「御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」」から、2017年6月以降の、比較的新しい31本を選んで収録したもの。著者はボストンコンサルティンググループの日本代表やグローバル経営会議メンバーを歴任したコンサルタント。

 テーマ別の6章建て。テーマを私なりにラベリングすると「アートとビジネス」「テクノロジーへの期待と不安」「米中関係と国際政治」「視点の置き方」「未来づくりの方法論」「未来のきざし」。個々のコラムの中では教育や社会の問題にも言及・提言があり、とても幅広いテーマに目が届いている。

 興味深かったことを1つだけ紹介。ヒットメーカーの川村元気さんの、ヒットの秘訣のたとえ話。駅に向かう途中に通る郵便ポストにクマのぬいぐるみが乗っている。何万人もの人が「なんか変だな」という違和感を持ちつつも、ただ通り過ぎていく。そこで、そのぬいぐるみを手に取って「みなさん、これ、なんか変ですよね」とはっきり口に出していう。それがヒットの共通項だという話。

 本のタイトル「「ミライの兆し」の見つけ方」は、第6章のテーマの沿ったもので、直接的には最後のコラム「読める未来、読めない未来、そしてつくる未来」に記されている。逆に言えば、それまでの30本のコラムには書かれていない。私は読みながらそう思った。

 しかし、読み終わった後に、全体をパラパラと見返していると、多くのコラムが連携して「ミライの兆し」を指し示していることが感じ取れた。単に「キャッチーで売れそうなタイトルを付けた」(読んでる最中はそう思っていた)というわけではなかったのかな?、と思った。

 最後に苦言。コラム中に「2017年7月24日付の記事」への言及があるのに、その記事は本書に収録されていない。既出のコラムから選んで収録したので、こういうことが起きたのは分かる。しかし、配慮してもらいたかった。

人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です