medium 霊媒探偵城塚翡翠

著 者:相沢沙呼
出版社:講談社
出版日:2019年9月10日 第1刷 12月9日 第5刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 こういうミステリーも有りか、ぐらいに軽めに思わせておいて、大仕掛けが仕掛けられていた本。

 本屋大賞ノミネート作品。「このミステリーがすごい!2020年版」第1位

 主人公は香月史郎。推理作家。年齢は30代か?警察の捜査に協力していて、ここ最近はいくつもの殺人事件を推理し解決に導いている。それにはウラがあって、実は、死者の魂を呼び出せるという霊媒の美少女がいて、彼女の助言によって犯人を特定しているのだ。香月はその犯人に導く論理を構築している。警察に「死んだ被害者に聞きました」とは言えないから。

 ミステリーに霊媒、それもホンモノが登場していいのか?という疑問はある。被害者から教えてもらえるなら、捜査も推理も必要ないのだから。でも、ミステリーには「ホワイダニイット(Why done it?)」「ハウダニイット(How done it?)」というジャンルもある。香月の論理構築はその変形で、これもミステリーには違いない。

 物語は、香月が新しく依頼された猟奇的な連続殺人事件を背景に置きながら、香月と霊媒の美少女とのコンビが解決してきた事件を順に描く。言い遅れたけれど、この霊媒の美少女の名前が、タイトルになっている「城塚翡翠」。あれ?とすると、主人公は推理作家の香月史郎ではなくて、霊媒の美少女の城塚翡翠の方なのか?...

 上に「ミステリーには違いない」と書いたけれど、面白いかどうかは別。私は、オカルト趣味が半端な感じがしたし、翡翠の振る舞いが何とも思わせぶり(私の世代がよく使った「ぶりっ子」というやつ)で、コンビによる事件解決はそんなに面白くなかった。でも、この物語は最終話まで読んで欲しい。面白いか面白くないかを判断するのは、最後まで読んでからだ。

 最後に。「女性の目から見れば、明らかに芝居だと見抜けるでしょうけれど、ほとんどの男性は信じ込んでしまうんですから、不思議なものです」。これは翡翠のセリフ。辻村深月さんの「傲慢と善良」でもそういう場面があったけれど、「そうなのか?男はダメだな」と思った。

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