すえずえ

著 者:畠中恵
出版社:新潮社
出版日:2016年12月1日 初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 そうか、一太郎のお嫁さんはあの子なのか、という本。

 「しゃばけ」シリーズの第13作。「栄吉の来年」「寛朝の明日」「おたえの、とこしえ」「仁吉と佐助の千年」「妖達の来月」の5編を収録した連作短編集。文庫版には著者と漫画家のみもりさんの対談が巻末に付いている。

 江戸の大店の跡取り息子で極端に病弱な一太郎が主人公。一太郎の周りには数多くの人ならぬ者、妖たちが居ついている。その妖たちが起こしたり解決したりする騒動を描く。シリーズを通してこの設定は同じなのだけれど、巻を追うごとに一太郎は確実に成長していて、今回はなんと一太郎の縁談がまとまる。

 「栄吉の来年」は、一太郎に先駆けて一太郎の友人の栄吉の縁談話。「寛朝の明日」は、上野の広徳寺の名僧である寛朝の危機。「おたえの、とこしえ」は、一太郎の母親のおたえの面目躍如。「仁吉と佐助の千年」は、一太郎の縁談に端を発した、一太郎の守役の仁吉と佐助の決断。「妖達の来月」は、少し哀しい現実を垣間見せながら新しい展開への期待。

 「一太郎の縁談」はもちろん一大トピックス。それに普段はほとんど出番のない、お母さんのおたえがフィーチャーされているのも珍しい。私はおたえさんのことが密かに気になっていて、もっと登場させて欲しいと思っている。私としてはシリーズの中でも特別な1冊だ。

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