著 者:三浦しをん
出版社:KADOKAWA
出版日:2018年5月26日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)
主人公は、野々原茜と牧田はな。物語の始まりには、二人とも横浜の女子高校の2年生でクラスメイトだった。今「物語」と書いたけれど、通常の意味の「物語」ではなく、本書は全編が、この二人が互いに相手に書いた手紙で成っている。つまり書簡文学。「のの」と「はな」の間の手紙の往来。タイトルはそういう意味。
また「手紙」と書いたけれど、郵便による手紙もあれば、授業中に回したメモもあり、後半には電子メールもある。郵便と電子メールには日付が付されていて、これがいつの出来事なのかがはっきり分かることも、本書の特長かもしれない。物語の最初は昭和59年(1984年)、最後は2011年。なんと30年近い時間が流れている。
これは、「のの」と「はな」の友情を超えた絆の物語。1章は二人が高校生のころ。2章は進路が分かれた大学生のころ。3章は20年のブランクを経た2010年。4章は...3章の「その後」。各章の終わりには二人の関係の「終わり」があり、各章の始まりには「新しい始まり」がある。そうやって二人の関係は決別と再会を繰り返して30年続いた。
あらすじは敢えて紹介しない。 読み進めると「え?!そう来たのかよ。そっちか!」という「驚き」が何度か。その「驚き」を、これから読む人にも感じて欲しいから。たぶん誰にも予想できない展開だと思う。
最初の「驚き」が1章の真ん中あたりである。「これはちょっと趣味が合わない」と思うかもしれないけれど、それでもぜひとも2章、3章と読み進めて欲しい。私が「誰にも予想できない」と書いたのは、最初の「驚き」もそうだけれど、むしろ3章の展開の方を指している。
「しをんさんは、私をどこに連れて行こうとしているのか?」と、最初の「驚き」で不安に思った。しかし、読み終わって連れて行ってもらったのは、読む前よりも少し自分の視界が開けた場所だった。
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