2.小説

空が落ちる(上)(下)

書影
書影

著 者:シドニィ・シェルダン 超訳:天馬龍行
出版社:アカデミー出版
出版日:2001年9月10日第1刷
評 価:☆☆☆(説明)

 久しぶりのシドニィ・シェルダン。本書が米国で出版されたのが2000年、1917年生まれというから83歳の時。2004年には「Are You Afraid of the Dark?」という小説、2005年には、回想録「The Other Side of Me」を出版しているから、まだ書けるのだろう。いったいいつまで執筆し続けるのか?こうなったら100歳のベストセラー作家を目指してもらいたい。

 本書の主人公は、サラエボの内戦を現地からレポートして一躍有名になったジャーナリストのダナ。今はニュースキャスターをやっている。大富豪の家の連続する事故死に陰謀のにおいを感じて、独自に取材を進める。
 舞台は、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、そしてロシアと目まぐるしく変わる。ストーリーを進めるために必要な証言を、それぞれの場所で得るために行く。まるで、ロールプレイングゲームのような趣だ。

 シェルダンらしく、ラストの100ページあたりにはいろいろな謎が解けて、スリル満点の展開も用意されている。それを楽しめば良いのだと思う。しかし、「何かあるはず」と、登場人物の行為を裏読みしながら読むせいか、私は早々に種明かしが分かってしまった。もちろん、著者も分かるようなヒントを随所にちりばめてくれている。そんなことまで書かなくてもいいのに、というエピソードも含めて。
 そんな数あるエピソードの中で、宙ぶらりんなままのものがある。主人公のボス(会長)が、ダナの居場所を知らないはずなのに知っていた、というくだり。
 普通なら、会長も敵の一味かそうでなくても何らかのつながりがあると思うが、彼は最後まで味方のままで、そのエピソードについての説明は見当たらない。どうしてだろう?

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号泣する準備はできていた

書影

著 者:江國香織
出版社:新潮社
出版日:2003年11月20日発行 2003年12月25日3刷
評 価:☆☆☆(説明)

 第130回直木賞受賞作品。久しぶりの純文学ということもあり、期待が大きかった。そのためか肩透かしをくらった感じだ。男女(とは限らないのだが)2人の関係が音も無く静かに崩れていく様子を、静かな語り口で綴った、というところが評価されて受賞に至ったのだろうと思う。確かに、そういった静かな悲しみが伝わってきた。

 短篇集なので、読むのに苦労はいらない。さすがに読みやすい。しかし、あまりにも平凡過ぎないだろうか?話によって設定はいろいろ、レズのカップルもあれば、嫁姑の旅行もある。表題の「号泣~」では、イギリスのノーフォークという街で知り合った放浪癖のある男女の話。のーふぉーくという街に何か意味があるのかどうかは分からない。木がない電飾だけのツリーというのがとても悲しいのらしいのだけど、これも意味は分からない。
 分からないのにいろいろ言ってはいけないのだけれど、分かる部分だけで感想を言うと、「それで….。何か?」だ。

 とてもしっくり行っていて、何の不安もなかった男が浮気した。もちろん浮気はいけないし、ショックなことだと思うけれども、それで泣きたくても泣けなかった、なんて話にみんなが感動したり同情したりする世の中でもないように思うが、どうだろう。
 これが等身大の人々の心の描写なのかもしれない。だから深く感情移入できる人もいるのだろう。しかし、私は小説には、現実とは別のものを求めているらしい。

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希望の国のエクソダス

書影

著 者:村上龍
出版社:文藝春秋
出版日:2000年7月20日第1刷 2000年8月5日第2刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 エクソダスとは脱出の意、旧約聖書にある「出エジプト記」に原意がある。
 本書は、2000年に、2001年からのほぼ10年間の日本を舞台にした、極近未来小説。読んでいる今は2006年だから、小説の真っ只中というわけで、意地悪な見方とすれば、どれだけ当たっているか、という見方もできる。もちろん、著者は予言書を書いたわけではないので、そんな読み方は正しくないのだけれど。

 小説では、中学生の過半数が不登校になっている。彼らは現在の教育への積極的なNOを意思表示するために、学校へ行かないでいる。その中の一部は、緩やかなネットワークで結ばれて組織化され、映像配信や職業訓練などの事業を手がけ、為替を操って巨額の資金を手にし、北海道に十万人単位で移住して新たな街を建設してしまう。
 当たりはずれで言えば、はずれだろう。中学校へは大半の生徒が未だ通っているし、大人社会はその面目をなんとか保っている。しかし、薄い膜1枚を隔てた事実のような気もする。
 文科省の調査では、平成15年度の中学校の不登校は10万2千人、2.73%だ。実際にはもっと多くいることが想像されるが、この数値でも40人学級を前提にすれば、1クラスに1人以上だ。全部のクラスで不登校生徒がいると思えば、異常事態にはちがいない。
 現在の不登校は、言わば消極的不登校。「本来は行くべき」という考え方までは揺らいでいない。これが小説のような積極的不登校という考え方に変わらないとも限らない。

 「この国には何でもある。だが希望だけがない」と、中学生のリーダーに著者は言わせた。この言葉は有名になった。コピーとして良くできているから。しかし、その前の言葉のやり取りの方が興味深い。国会での議員との対話だ。
 中学生:「どうして中学校というものが、この国に存在するのか」
 議  員:「法律で決められていて、誰でも行かなくてはならないから」

 この後、中学生は対話を拒否してしまう。答えになっていないからだ。言葉で議論をするのが仕事の国会議員の面目丸つぶれだが、同情もする。中学生までは学校に通う、という自明と思われていたことにも、理由が必要になっているのだから。自明なことに対する理由は説明が難しいだろう。

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東京奇譚集

書影

著 者:村上春樹
出版社:新潮社
出版日:2005年11月6日発行 2005年9月30日2刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「新潮」に2005年3月号から6月号までに掲載された短編4編と、書き下ろし1編の計5編が収められた短編集。

「奇譚集」だから、ありそうにもないけれど、もしかしたら….。という話が5つ。考えてみれば、村上春樹の小説は、作品によって度合いに違いはあるが、全て奇譚と言える。(ちなみに、本の帯に【奇譚】<名詞>不思議な、あやしい、ありそうもない話 という説明が書いてある)
 不思議の度合いが、1編目より2編目、2編目より3編目と強くなっている。1つ目はありえないような偶然が重なる話、2つ目は幽霊話、3つ目は品川で姿を消した男が仙台に現れる、4つ目は夜中に石が勝手に動く、そして5つ目に至ってはしゃべる猿(羊ではなく)の登場。月刊誌への掲載だから、読者はこの順に目にすることになる。偶然ではないと思う。徐々に村上ワールドへ引き込む作戦だろう。そして、この短編集自体も、そうした意図を持ったものに違いない。

 書き下ろしの「品川猿」が一番面白い。しかし、長編のような細部の書き込みが足りないような気がした。猿が名札を盗むのだけど、どうやって在りかを見つけたのかを聞かれて「ひらめき」で済ませてしまっている。
 しかし、登場する人は、ゲイであったり、息子をサメに食われた母親であったり、親に愛されなかったりと、不完全さを持つ人々が多い。そういう人々の物語をサラッと書く手並みはさすがだ。

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四十日と四十夜のメルヘン

書影

著 者:青木淳悟
出版社:新潮社
出版日:2005年2月25日第1刷 2005年5月25日4刷
評 価:☆☆(説明)

 表題作と「クレーターのほとりで」という2本の中編が収められてる。朝日新聞の書評で見て、面白そうだから読んでみた。ちなみに、表題作は、第35回新潮新人賞受賞。

 この本は、私には合わなかったようだ。特に表題作は、読むのもつらい、というあり様。主人公は、7月4日から7日までの日記を繰り返し書いていて、合間に創作童話を書いている。仕事はチラシのポストインらしいが、決められた枚数を配らずに、家に大量に持ち帰っているので、部屋の中にチラシが散乱している。
 散らかっているのは部屋だけではなく、この小説自身もとっ散らかっている。内容を変えながら繰り返される日記と、中途半端な童話と、その他様々な状況説明が入り乱れて、とても散漫な感じ。
 主人公の退廃的な生活態度が、文章にまでにじみ出ている感じで、退屈極まりない。自由奔放といえば聞こえがいいかもしれない。そういう捉え方でもなければ、新人賞とは解せない。いや、賞にケチはつけるまい。ただ、私には合わなかった。

 表題作に比べると、「クレーターのほとりで」の方は、ストーリーに引き込む力というか、独特の雰囲気ががある。すごく、未完成な感じはするけれど。

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書剣恩仇録 一~四

書影
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書影
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著 者:金庸 (訳:岡崎由美)
出版社:徳間書店
出版日:(一)1996年10月31日初版
     (二)1996年11月30日初版
     (三)1996年12月31日初版
     (四)1997年1月31日初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 中国の武侠小説と言われる分野の小説。
 武侠小説とは、武芸に秀でた英雄豪傑の活躍する歴史小説のことらしい。そう言えば、水滸伝や三国志演義などの古典にも、人並みはずれた能力の持ち主が、大勢登場して入り乱れて活躍する。これらの古典が源流なのだろう。

 それで本書だが、これが大変に面白い。紅花会という高潔の士の大結社の面々が主人公。対するは清の朝廷。舞台はモンゴルから北京、江南と広い。次々に危機に見舞われ、目まぐるしく場面が転換する。
 非難するわけではないが、この読みやすさ、面白さの理由は、マンガ的、アニメ的であるところだろう。意味は、多少現実味を無視しても、面白ければ良いとうこと。
 例えば、結社の親分が絶体絶命の危機に瀕していると、なぜか大勢の人が駆けつけて来て、一緒に戦い出す。広い砂漠の中で、偶然通りかかったなんてのもお構いなし。飛び降りた人を、後から追いかけて降りて追い付くなんてのもOK。
 大衆受けする要素もテンコ盛りだ。出生の秘密、恋愛と三角関係(登場する主な4人の女性は、全員美貌の持ち主で、誰かと恋に落ちる)、そして復讐、何だか韓流ドラマみたいだ。正義と悪。朝廷に対抗する義を重んじる人々。計算されつくしたストーリーなのだろう。

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カンガルー日和

書影

著 者:村上春樹
出版社:講談社
出版日:1986年10月15日発行 2001年7月31日第40刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 20年近く前に出た村上春樹の短篇集。「象の消滅」に収められていた短篇のうち、「4月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて」が収められている。他の短篇が収められた本は家にあったのに、これがなかったので、買ってきた。

 なんとも言えない村上作品の空気はあるものの、濃密な感じではなく、むしろさらっと読めるショートショートのような短篇が並ぶ。最後の「図書館奇譚」を除いては。
 これらの短篇は、トレフルという雑誌に連載していたものらしい。1981年4月から83年3月までとある。ちょっと調べてみた。「図書館奇譚」は、1982年6月号から、羊男が出てくる第2回目は7月号。「羊をめぐる冒険」は、群像の同じ年の8月号、つまり、「図書館奇譚」の方が早い。
 どういう雑誌なのかよく分からなかったのだけれど、読者はどう思っただろう。まぁ、そんなこともあるよね、という軽い感じの読み物がそれまでは続いていたのに、いきなり羊男、それも頭を割って脳みそを吸う、というのだから尋常じゃない。驚いただろう。

 ところで、村上作品には図書館が良く出てくる。「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」「海辺のカフカ」。図書館、古い書物が集積している場所に対する微妙なセンスがここに現れているように思う。

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「象の消滅」短篇選集

書影

著 者:村上春樹
出版社:新潮社
出版日:2005年3月30日発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 1980年~91年に書かれた短編を1993年に米国クノップ社が短篇集として出版した。本書はその本のセレクション、順番で収録してある。10年以上前に米国で出版された20年前の作品を、どうして日本で出し直す必要があるのかは疑問。「面白そうな企画だな」という以上には深い意味もないのかもしれない。
 という、皮肉な考えとは裏腹にけっこう楽しめた。本棚を改めて探ると、収録作品の大部分は見つかった。つまり、以前に読んでいたはずなのに、とても面白く読んだ。まぁ、読んだのは10年以上も前だから、単に忘れていただけなのだけれど、作品が魅力的であった証拠とも言えるのではないか。

 こうやって、17編もの短篇を通読してみると、いくつかの傾向というか、分類が見えてくる。現在の村上作品の特徴とも言える、仮想と現実がない交ぜになった世界観のもの(緑色の獣、踊る小人、そして表題の象の消滅、など)、あり得ないとは言えないけれど非日常的な物語(パン屋再襲撃、納屋を焼く、など)、若者を青臭いぐらいに素直に描くもの(4月のある朝に・・・・・・、午後の芝生、など)、人間心理を鋭く突くもの(沈黙、など)...。
 ここまで書いて、ある考えに行き当たった。これは、日本の読者に向けた村上作品のトレーニング用なのではないか。最近の村上作品は、独特の世界観が強すぎて、ついていけない人もいる。しかし、短篇で青春ものなら入って行きやすいだろう。この短篇集の、この作品はよくわからないけど、これは良かった、という読み方もできる。
 米国で出版する際には、多分に村上春樹を紹介する目的をこの短篇集に持たせていたに違いない。それをそれを逆輸入で日本向けにやったので。それが、10年以上前に米国で出版された本を日本で出し直す理由なのかもしれない。

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アフターダーク

書影

著 者:村上春樹
出版社:講談社
出版日:2004年9月7日初版
評 価:☆☆☆(説明)

 都会の一晩の出来事を描いた、村上春樹の中篇作品。
 村上春樹らしいと言えば良いのかもしれないが、つかみどころのない作品。物語は何かの予感を持ちながら(例えば、新しい恋とか、殺人やその他の犯罪とか)進んで行く。しかし、何かに向かっている様子はない。予感は、何にも結実しないで予感のまま終わる。
 登場人物は多彩。主人公は、美貌の姉を持ち、その陰で自信を持てずに外国語大学に通う女子大生。その姉は、2ヶ月も眠り続けている。その他に、元女子プロレスラーのホテルのマネージャー、誰かに追われている従業員、売春組織の中国マフィア、その売春婦を殴って身ぐるみ剥いだシステムエンジニア、そして主人公の相手役のバンドマン。全員が深夜から明け方の時間の住人だ。
 それぞれの登場人物に物語があり、それが交錯しながら展開するのだが、全ての話は宙に浮いたまま終わる。「朝が来たからこれで終わり」とでも言うように。一晩だけの出来事だから、何かの結末を迎えるのはムリなのかもしれないけれど、こんな何もかも宙ぶらりんでいいのか。
 これは、村上春樹が紡ぐ物語の断片なのではないか?これと同じが似た設定で、長篇が書かれるのではないか?こんな期待は甘すぎるだろうか。

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私は別人(上)(下)

書影
書影

著 者:シドニィ・シェルダン
出版社:アカデミー出版
出版日:1993年10月10日発行 12月10日第7刷
評 価:☆☆☆(説明)

 スーパースターのコメディアンのトビーと、妻のジルの2人の人生が織り成すドラマ。原題はA stranger in the mirror。
 シェルダンだし、超訳だしで、最後まですんなりと読み通した。ストーリーにも起伏があり(失敗しそうになっても、すんでのところで救われるといった)、よくできた娯楽作品だと思う。敢えて言えば、ハラハラドキドキやドンデン返しはなく、途中からは予想できた結末へ向かって淡々と進む、という感じがちょっと残念だった。
 トビーは、出会う女性と片っ端から寝て、思い通りにしてしまうし、その誰からも恨まれていないという何とも幸せな人生を送ってきている。もちろん、最初は少し苦労するけれど、1度世に出てからはスランプもない。ジルは、苦労人だがわがままでもあり、一本調子な感じがする。
 ジルの幼馴染のデビットは、どういうわけか、ずっとジルのことを思い続けていて、それなのに最後になって、ジルの昔の過ちを知って去って行ってしまう。訳者も同じように思ったらしく、「デビッドはどうしてジルを許してやらなかったのか」と書いている。意外な結果と言えばそうだが、腑に落ちない意外な結果はドンデン返しとは言わない。

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