ビシッと言っても部下がついてくるできる上司の叱り方

監修者:嶋田有孝
出版社:PHP研究所
出版日:2013年9月20日 第1版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 著者の嶋田有孝さんから献本いただきました。以前にも「20代で読んでおきたい成功の教科書」「30代リーダーの仕事のルール」をいただいています。感謝。

 嶋田さんは、ビルメンテナンス、警備保障、メディカルサービスなどの人材ビジネスを手がける会社の社長。大学卒業後に同社に入社して、室長、部長、支店長、本部長、副社長を経て、今年6月に社長に就任されたそうだ。当然スッテプアップの度に部下の数が増える。上司としての力量もより厳しく問われるようになる。本書は、そうした著者自身の経験(失敗も含めて)から導き出された指南書である。

 明確に区分されてはいないのだけれど、本書の内容は大別して2つに分けられる。1つは「叱る側の心構え」、もう1つは「具体的・効果的な叱リ方」。

 「叱る側の心構え」は、「叱る」と「怒る」の違いから考えると分かりやすい。「怒る」は、自分が中心。自分の腹立ちを相手にぶつけることだ。相手は自分の怒りの原因を作った憎むべき者だ。「叱る」は相手のために行う行為。その目的は「あるべき姿と現在の自分との差に気付かせ」さらに「あるべき姿に近づくよう導くこと」、つまり「相手(部下)の成長」にある。

 そうすると「心構え」としては、怒ってはいけない、相手を痛めつけるような言動もダメ、ということが自然と分かる。さらには「部下の成長」は上司の責務だと考えれば、必要なら「叱る」のが仕事だと心得ておかなくてはいけない。「あの人は優しいから(叱らない)」と言われるようでは(私も時折そう言われる)、上司としての責務を果たしてないということなのだ。あまり叱ることのない私には耳が痛い。

 「具体的・効果的な叱り方」は、実践的な様々な例が挙げられている。「叱る前に事実を正確に確認」「その場で即座に」「叱る時間は3分が限界」..。なるほどと思ったのは「ミスを憎んで部下を憎まず」。「君はどうしてこんなミスをしたんだ!」ではなく、「このミスの原因は何なんだ」と言う。これでは責任の所在があやふやにできてしまい、ちょっと甘い気もするけれど、この方が問題解決にはつながりやすいだろう。

 「心構え」は一朝一夕に身につかないとしても、「叱り方」はできるところからすぐに変えられる。いわばHowTo。「明日から使える」と言いたいところだけれど、「叱る」ことはそんなにお手軽ではない。本書の一項目に書かれているのだけれど、叱って効果が出るためには、部下からの「信頼」と「評価」と「(一定の)距離」という土壌が必要だそうだ。やはり一朝一夕にはできない。

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2つのコメントが “ビシッと言っても部下がついてくるできる上司の叱り方”にありました

  1. 風竜胆の書評

    ビシッと言っても部下がついてくるできる上司の叱り方

     のっけから何だが、私は、ビジネスにおける人材育成で使われる「叱る」という言葉が好きではない。「叱る」とは上から目線の言葉だからだ。試しに辞書を引いてみれば良い。 …

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