きっと嫌われてしまうのに

著 者:松久淳+田中渉
出版社:双葉社
出版日:2017年9月24日 第1刷発行
評 価:☆☆(説明)

 著者は、松久淳さんと田中渉のお二人。このお二人には「天国の本屋」というシリーズ作品がある。「天国」とその住人(普通は亡くなった人たち)を描くことで、「生きる」ことを際立たせる、シンプルな秀作だった。そのような物語を期待して読んだ。

 主人公は間宮充と大迫ユキ。高校1年。入学して3日目に、充がユキの白いふくらはぎを目にしてひと目ぼれ。翌日から帰り道の待ち伏せなどの、ストーカーじみた行為を繰り返す。そして誰もが驚いた充の恋心の成就。二人は帰り道を一緒に帰るカップルになった。

 序盤にこんな急展開があり、その後、充のパートとユキのパートを交互に繰り返す。充のパートは、だいたいユキと一緒か、そうでなくてもユキの話題。ユキのパートは、友達か父親の話題が多い。ユキの父親は、ゴルフのレッスンプロで、すごくカッコいい。

 ユキのパートには充が登場しないのだけれど、充のパートと同じことを繰り返しても仕方ない。まぁ「同じエピソードを別の視点で描く」という技巧もあるけれど、本書にはそうしたものはない。充のパートだけで、二人の距離が近づいていくのがよく描かれている。

 ところが...。帯に「衝撃のどんでん返しミステリー」と書いてあるけれど、この物語は、読者が思っていた物語とは別の「真相」がある。ネタバレになるので詳しくかかないけれど、著者の巧妙さに完全に騙された。

 「騙された」に関連して言うと、「その(天国の本屋の)ような物語を」という期待も裏切られた。まぁ勝手な期待と違うからといって、「騙された」というのは筋違いだとは思う。ミステリーとしての構成もいい。でも、この「真相」のような話が、私は苦手だし嫌い。そういう理由で☆は2つ。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です