著 者:ガース・ニクス 訳:原田勝
出版社:主婦の友社
出版日:2011年12月31日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)
トールキンの遺稿集に「終わらざりし物語」というのがあるが、普通は物語はいつか終わりが来る。このシリーズは第1巻の「アーサーの月曜日」で、半ば予告されていた通り、火曜日、水曜日...と続いて、7巻目の本書「復活の日曜日」で幕を閉じる。どのような人気シリーズも、いや人気シリーズであればあるほど「終わり方」は難しい。
前作「雨やまぬ土曜日」のラストで、主人公アーサーは、遥かな上空に存在する「至高の園」から落下してしまう。そこは手に入れた鍵の力で切り抜けたが、早々とこのシリーズのラスボスとも言える日曜日の管財人、サンデーと対峙することになる。
その後は、アーサーと準主人公のスージー、リーフの3人の物語が縒り合さって、物語の結末へと向かう。もちろん、シリーズを通しての謎であった、誰が何の目的で一連の事件を引き起こしたのか、も明らかにされる。
気になるアイテムは、アーサーが実の両親からもらい、5歳の時になくしたゾウのぬいぐるみ。「海に沈んだ水曜日」でアーサーの手元に戻り、再び手を離れては戻ってきて本書に至っている。ようやくこれが大事な役割を担う。
「終わり方」に関しては、「ナルニア国物語」の終わりにも似た、これで良かったのかどうか、もっと前に他の手を打てなかったのか、という気がする結末だった。まぁそれでも、複雑に交錯した物語が決着する着地点を、何とか見出したとは言える。
考えてみれば、このシリーズの7作はそれぞれ、キリスト教の7つの大罪に相対するようになっている。「ナルニア国」も7巻で、多分にキリスト教の影響を感じる作品だった。きっと通底するものがあるのだろう。
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