著 者:アレックス バナヤン 訳:大田黒奉之
出版社:東洋経済新報社
出版日:2019年9月5日 第1刷 9月25日 第3刷
評 価:☆☆☆(説明)
サブタイトルの中の「精神的資産」という言葉に魅かれて読んだ本。それは今いちよく分からなかった。
まったく無名の学生だった著者が、大学1年生の時に「ビル・ゲイツはどうやって成功の第1歩を踏み出したんだ?」と思ったことがきっかけで始めた、「成功した人たちにインタビューして、そこで得たことを本にする」プロジェクト。本書は、その始まりから、驚きのアイデア、悪戦苦闘、赤面の失敗、ありがたい援助などを経て、当初の目的を果たすまでの一部始終。
タイトルの「サードドア」は「第三のドア」の意味。どこかに入ろうと思ったら、まず「第一のドア」は正面入り口。99%の人がそこに並んで長い行列を作る。ところが並ばないで入っていく人がいる。金持ちやセレブが使うVIP専用入り口が「第二のドア」。ふつうはこの2つしか気が付かない。「第三のドア」は「裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンを通り抜けたその先」にある。
「成功者にインタビューしたい」と思ったものの、どうしたらいいのか皆目わからない著者は、知り合いの大人に片っ端からメールして、アドバイスを求める。そのうちの一人がスティーブン・スピルバーグが大学のキャンパスに来ることを教えてくれる。抜け駆け的にスピルバーグに話しかけていると学部長が飛んできて「こんなことは許されない」と、追い返されてしまう。
こんな感じでプロジェクトは前途多難に始まるのだけれど、彼に協力してくれる人も現れる。例えば参加したビジネスカンファレンスで話しかけてくれた登壇者。彼はマイクロソフトのディレクターで、著者が「プロジェクト」のことを話すと、マイクロソフトのオンラインサービスのプレジデントを紹介してくれた。そのプレジデントはビル・ゲイツに彼のメールを転送してくれる、という。
すぐにもビル・ゲイツのインタビューが実現しそうに思うが、ここからが大変。大変だけれど面白い。そしてためになる。まぁ著者と同じ事はできない。「できない」と思う心が邪魔をしてできない。でもいろいろとヒントは得られる。
例えば、著者はプロジェクトの資金を稼ぐために、クイズ番組に出て懸賞金を得る、という驚きの作戦を成功させるのだけれど、このエピソードがその後の出会いのスパイスとして効いている。成功した人たち、セレブたちは「聞いたこともない経験」に興味を示す。1つでも他人に話せる「経験」を持っていることは、とても役に立つ。
それから協力者を得ることも大事。ビル・ゲイツに直接のコネクションはなくても、マイクロソフトの幹部を知っているディレクターと知り合う機会はあるかもしれない。その人に協力してもらうことで、1歩階段を上がれる。
あとは「何百回もノック」できるか?だ。
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