神の吹かす風(上)(下)

書影
書影

著 者:シドニィ・シェルダン
出版社:アカデミー出版
出版日:1996年10月10日
評 価:☆☆☆(説明)

 久しぶりに読んだシドニィ・シェルダン。
 知っての通りストーリー展開の巧みさとドンデン返しが特長の作家。意訳を超えて日本語らしく読みやすくした超訳が売りの出版社。なるほど読みやすく、ドンデン返しも伏線もあり楽しめた。でも、「ゲームの達人」や「時間の砂」など、最初のころの作品ほど面白くなかった。その他の作品も何冊か読んだけれど、それと比べても平板な感じがした。
 ストーリーは、田舎の大学教授がルーマニア大使に抜擢されて活躍する話。最後には命も狙われるが、それでも機転を効かせて難を逃れる。
 ドンデン返しがあると思って読んでいるからか、善人が善く、悪人が悪く描かれすぎているのが途中から気になった。少し度が過ぎる。また、大使としてルーマニア政府の要人と交渉するのだが、あまりに単純で驚く。うすっぺらでリアリティが感じられない。ストーリー展開は面白いので、それに水を差している感じ。
 軽い読み物としては素直に楽しむには良いのかも。わざわざ、意地悪な見方をすることもないか。

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趣味は読書。

書影

著 者:斎藤美奈子
出版社:平凡社
出版日:2003年1月25日初版 2003年2月20日第三刷
評 価:☆☆☆(説明)

 100万部程度売れたベストセラー本を取り上げて批評する趣向の書評本。基は平凡社のPR誌に連載されたもの。
 著者は本書の中で、西尾幹二氏(新しい歴史教科書をつくる会会長)の「国民の歴史」を評して、「歴史の常識がことごとく覆される快感があっちこっちにあふれている」と書いた人。ベストセラーの評判を覆すことが快感なのかもしれない。とにかく、ナナメから見たり裏読みしたりしながらコキ降ろしている。
 まな板に載せられたのは41冊。読んだことがあるのは5冊しかなかった。「巨泉」「話を聞かない男...」「金持ち父さん...」「海辺のカフカ」「ハリーポッター...」。驚くことに、この5冊については、私の考えと一致していた。著者の言葉を借りれば、私も相当な「邪悪な読者」なようだ。
 この本を読んで、紹介してある本を読もうとは思わないように思うが、役には立った。思っていたのとは全く違う内容のものもあった。「読者というのは勝手に曲解して「私もがんばろう」と励まされる」というくだりは笑えた。
さすがの著者も、ハリーポッターは切り崩せなかった。4巻合計で1650万部。なんでこんなに売れるのかを説明することも、揶揄することもできない。まさに魔法。

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シルマリルの物語(上)(下)

書影

著 者:J・R・R・トールキン他 (訳:田中明子)
出版社:評論社
出版日:1982年3月10日初版 1994年9月30日第7刷
評 価:☆☆☆(説明)

 指輪物語を遥かに遡る天地創造を含む神話の時代からの話。トールキンの世界観がここまで深いとは驚きだ。ロードオブザリングを映画で観ただけでは想像もつかないと思う。
 この世界は、イルーヴァタアルという創造主が、アイヌアという神々を使って創造した。このアイヌアのうち、最も力のあるメルコオルが邪な心を持ち、冥王モルゴスとなる。このモルゴスの破滅までが、第一紀。この後に、二紀、三紀と続く。
 創造主が最初に世界に住まわせたのがエルフ族。彼らは指輪物語に出てくるような、高貴で完成された人々ではない。強欲であったり、憎しみ殺し合うことさえある。この話で1つ特徴的な言葉が「誓約」、つまり約束。エルフ達は、誓約を破らない。というか破ることができない。「シルマリルという宝玉をこの世の果てまで取り返しに行く」という誓約を立ててしまったフェアノオルの一族は、このために、相手が誰であろうとシルマリルを奪い返すために戦うハメになり、同族同士の争いに陥る。
 ちなみに、指輪物語は、第三紀の終わりの話。第二紀は、エルフと人間の連合軍がサウロンから1つの指輪を奪うまで。サウロンはかつてはモルゴスの第一の手下、エルロンドは、シルマリルの所有者の息子で第一紀の終わりに生まれている、というように、物語は、連綿と続いているのだ。

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ホビットの冒険

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著 者:J・R・R・トールキン (訳:瀬田貞二)
出版社:岩波書店
出版日:1965年10月13日発行 1994年11月15日第23刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 指輪物語に先立つビルボとガンダルフとドワーフの冒険の話。
 すんなりと面白く最後まで読めた。トールキン先生は、この本の後、勧められて指輪物語を書いたということだ。指輪物語は少し力みすぎたのかも。
 指輪物語の主人公フロドと違って、この物語の主人公ビルボ(フロドの養父だ)は、自分の知恵と機転と行動力で幾度も危機を切り抜ける。エルフは指輪物語では大変に高貴な種族として描かれていたが、この物語ではエルロンド以外のエルフは随分と人間くさい。宝物をブン捕りに攻めてきたりもする。
 最後は、ゴブリン対エルフ、ドワーフ、人間、ホビットの連合軍の戦いになり、登場人物が大集合して大団円を迎える。なかなかの盛り上がりだ。
 話の中に、エルロンドも出てくるし、ビルボはこの冒険の途中で、ゴクリから指輪を得る。映画のロードオブザリングで石になったトロルが出てくる場面があるが、そのトロルが石になったいきさつも分かる。ギムリのお父さんのグローインは端役だけれどちゃんと出ている。
 と言うことで、映画を見て興味を持った人は、この本を読むと面白みが増すんじゃないかな。「指輪物語」ほど長くないしテンポ良く進むので、途中で挫折ということも少ないだろうし

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ダレン・シャン2 若きバンパイヤ

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著 者:ダレン・シャン (訳:橋本恵)
出版社:小学館
出版日:2001年10月10日初版 2003年3月1日第10刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 ダレン・シャンシリーズの第2巻。半バンパイヤになったダレンが、サーカスの一員になり生活を始める。ヘビ少年のエブラやひげ女、ガラスでも釘でも何でも食っちまう男など、奇っ怪な面々が暮らすキャンプ。こんな連中でも暮らしていく以上、洗濯したり炊事をしたりと普通なのがちょっとおかしい。
 普通の人間は、サーカスのショーの時だけこういった人々と接していれば問題ないのだろうけれど、日常生活に顔を出すようになると悲劇につながる。結局、近所の子どものサムはウルフマンに殺されて(喰われて?)しまう。環境保護団体の戦士RVは、両腕を失う。
 RVが両腕を失うシーンや、サムが死ぬところはグロテスク過ぎないか?このままでは、ハリーポッターや指輪物語のような映画化は難しいだろう。きわどすぎる。考えてみれば、サーカス団の面々からして怪しすぎて難しいか?
 でも、前巻にくらべると、話は格段に面白みを増した。次はどうなるのか気になるし。

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ダレン・シャン 奇怪なサーカス

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著 者:ダレン・シャン (訳:橋本恵)
出版社:小学館
出版日:2001年7月10日初版 2002年10月1日第12刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 J・K・ローリングも絶賛したという、英国のファンタジーミステリー。今現在で8巻まで日本で出版されている。2年で8巻だからかなりのハイペースだ。原書も第1巻が1999年に出て、今のところ9巻か10巻まで出ているようだから、日本ほどではないにしても、年2~3冊のペース。
 異論はあるだろうけれど、英国のファンタジーは、ハリーポッターが突破口になって、日本で売れ始めたと言って大きく間違えではないだろう。しかし、指輪物語の昔から脈々と続く英国ファンタジーの層は厚い。これからも日本に紹介される作品は増え、第2第3のベストセラーが出るだろう。
 この巻は、主人公ダレン・シャンが、奇怪なサーカス(と言っても、曲芸ではなく奇人変人ショーのようなもの。一部の人には不快感を与えるだろう)に行き、そこから盗んだクモのために半バンパイヤになるまで。言わばこの話の導入部。
 ハリーポッターと同じく、スラスラと最後まで読めた。また、ハリーポッターの第1巻と同じくストーリーはいたって平板。書評にあるような「ハラハラドキドキ」とか「予測の付かない展開の連続」といったことは全くない。10巻を超える長篇なので、第1巻だけ読んだだけで評価するは間違いなんだろう。続巻の展開に期待しよう。

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Harry Potter and the Order of the Phoenix(ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団)

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著 者:J・K・Rowling
出版社:ARTHUR A LEVINE BOOKS
評 価:☆☆☆☆(説明)

 ベストセラー小説「ハリーポッター」シリーズの第5巻。日本語のタイトルは「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」というらしい。友達から洋書を借りて読んだ。870ページの大作。日本語版は3分冊になるかもしれないという。いやぁ良く読み終えたものだ。
 読み応えはあったが、事件は起きない。なかなか起きない。終盤になって大乱闘とも言えるアクションシーンがあるが、それまではまるで学園ドラマのようだ。いじわるな先生が登場し、デートに失敗したり、先生に隠れて集まったり、試験や卒業後の進路を考えたり...。そういえば、ハリー達も15-6才、青春真っ只中なのだ。
 アンブリッジという意地悪な先生を登場させて、学校をかき回し、ハリーをいじめ抜くことが、ストーリー上必要であるのか、ちょっと疑問。おかげでハリーの心は暗く鬱積していき、ストーリー全体に鬱々としたトーンが漂う。読んでいてストレスが溜まった。
 前巻で復活を果たした闇の魔王は、取り巻きを取り戻して態勢を整え、同じく前巻で決裂したダンブルドアと魔法省は、この一巻と大きな犠牲を費やして関係を修復する。いよいよ次回から全面戦争に突入かと期待しよう。

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オンデマンド IBM eServerの奇跡

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著 者:岩山知三郎
出版社:コンピュータ・エージ社
出版日:2003年1月20日初版
評 価:☆☆(説明)

 1990年代初めに、かつてはコンピュータ業界の巨人と呼ばれたIBMは、その巨体故にか、オープン化の動きをつかみ損ねて苦境に陥る。ルー・ガースナーが1993年にCEOに就任し、その後奇跡的な復活を遂げる。本書は、その復活劇と「全てのコンピュータがオープンスタンダードに向かう」という視点の下に、コンピュータ創生期からの歴史を綴ったもの。
 前半部は1960年~70年、情報技術の進展の速さを考えれば、本当に歴史になってしまった話だ。相当に退屈。ここで挫折してしまう読者も多いだろう。後半部に期待して何とか続きを読んだ。
 後半部はオープンスタンダードに向かう激動の時代の記録。この本は多分にIBM賛歌であろうから、話半分にするとしても、これだけ革新的な動きを成し遂げたIBMに対して、国内ベンダーは何か手を打ったのだろうか?
 私の知っているオープンの概念は、「デファクトスタンダード」を市場が採用することだった。しかし、IBMの成功は、「オープンスタンダード」の推進にあった。「デファクトスタンダード」が、標準争いの勝者に与えられる「事実上の標準」(単なる多数派ということもできる)なのに対し、「オープンスタンダード」は、真にベンダーやプラットフォームを越えた相互利用が可能なのである。
 キーワード:ネットワークの外部性

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男の人ってどうしてこうなの?

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著 者:スティーヴ・ビダルフ (訳:菅靖彦)
出版社:草思社
出版日:2003年3月6日発行
評 価:☆☆☆(説明)

 オーストラリアの臨床心理学者で、男性解放運動(メンズムーブメント)の中核的存在である著者が、男性が真の男性になるための必要なステップを書いたもの。
 「地図が読めない女...」と同様の性別による性格の違いを書いた本かと、タイトルから考えていたが、そうではなかった。原題は「Manhood」(成年男性、男らしさ)だ。この日本語タイトルはふさわしくないのではないか。まぁ、「男らしさ」なんて題の本が売れるとは思わないけど。
 「ほとんどの男性は自分の人生を生きていない」で始まる本書は、最初こそ読者、特に男性読者の注意を引くだろうけれど、半ばごろからどうもしっくりこない。著者やその研究対象が西洋人だからだろうか。しかし、今の時代、女性の抑圧や生き難さを言う声は多いけれど、男性だって中々辛いということは言えるのかも。自殺者は圧倒的に男性の方が多いって言うし。
 あまり賛同はしないけれど、著者の言う7つのステップを後の参照のために挙げておく。
 (1)父親との関係を修復する(2)セックスに神聖さを見出す(3)パートナーと対等に向き合う(あきらめずに、興奮せずに話し合う)(4)子どもと積極的にかかわる(5)自分の仕事に愛情を持つ(6)同性の親友を持つ(7)野性のスピリッツを解き放つ

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発想する会社 The Art of Innovation

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著 者:トム・ケリー ジョナサン・リットマン (訳:鈴木主税 秀岡尚子)
出版社:早川書房
出版日:2002年7月31日初版
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「これが私が目標としている会社の本です」と、知り合いの起業家の卵から渡された本。
 一見してアメリカ的ハウツー & サクセス本という感じがした。字も2段組でびっしりで、正直言ってあまり読む気がしなかった。それでも、わざわざ貸してくれたのだし、彼女の目標だと言うし、とにかく読み始めた。....これが、面白かった。一気にとは言わないまでも、最後まで興味深く読んだ。

 米国に本社のある世界的に有名なデザイン会社。数々の大企業の製品デザインを手がけている。商品の企画・製造・販売といったメーカーの業務から、デザインだけを切り出してビジネスになるのか?なるのである。デザインと言っても、形や色などの形状のデザインでなく、商品コンセプトも含めた設計などを含むデザインである。(設計を英訳するとdesignだ。でも日本語のデザインは主には図案とか意匠のことだ。このズレは大きいかも。)

 では、商品コンセプトと言えば、メーカーの戦略の要の1つだ。そんなものをその商品の専門家でもない会社にアウトソースできるか?できるのである。

 ということで、この本は、デザインの本ではなく、この会社のイノベーション手法が明らかにされている。実際、この会社には、デザインの依頼だけでなく、イノベーション手法の手ほどきのオファーも多いらしい。この手法によって、専門ではなくても優れた商品デザインが可能になっているのだ。

 キーワード:ブレインストーミング、プロトタイプ、観察、他家受粉、ウェットナップインターフェイイス

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