天地のはざま

著 者:たつみや章
出版社:講談社
出版日:2001年3月26日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「月神の統べる森で」「地の掟 月のまなざし」に続く連作ファンタジーの3冊目。前作で再会を果たした縄文のムラのポイシュマと弥生のクニのワカヒコの少年2人が、さらに過酷な運命に立ち向かう。

 シリーズを通して、縄文と弥生の文化の衝突と、それを通しての現代の社会や文明への疑問を投げかけてきた。自然や動物を神として崇める気持ちを失ったことや、「所有」の概念が生んでしまった身分制度や陰謀などなど。
 そして今回物語の俎上に上がったのは「交渉」。弥生の悪しき習慣を一身に体現するホムタという男がいるのだが、彼が別のムラとの産物の交換の場でこう言う「すこしでも得な交換をするのが、おれたちの役目」このあとホムタは「なんていやしいやつだ」とか言われて足蹴にされてしまう。
 「交渉」が「いやしい」とは..。身分制度や陰謀という言葉に感じる負のイメージは「交渉」にはない。だいいち仕事でも生活でも、誰かに何かを頼んだり頼まれたり、どこを向いても交渉だらけなのだ。(関西人だし。過度な交渉は自粛しているけれど)..でも、本書を読んでいると確かに「いやしい」と思えてしまう。

 話を本書に戻すと、これまでの縄文のムラと弥生のクニに加えて、さらに強大なクニが物語に絡んでくる。そして、ポイシュマが大化けする。物語がスケールアップして、いよいよ佳境にはいる予感を残して終わる。次が最終巻。読むのが楽しみだ。

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