優しさ研究所

著 者:高橋幸路
出版社:文芸社
出版日:2010年11月15日 初版第1刷発行 
評 価:☆☆☆(説明)

 本書の紹介の前に、聞いてもらいたい。私には1つ決めていることがある。私はほとんど毎日車に乗っているのだけれど、可能な限り他の車や人に道を譲ることにしている。横断歩道で人が待っていれば止まる(これは道路交通法で定められている)。脇道や駐車場から出てこようとしている車があれば、安全を確認して極力止まって入れてあげている。
 この習慣は、私自身が道を譲ってもらった経験があって始めたものだ。まぁ「嬉しかったので恩返し」ということなのだけれど、それだけではない。私が譲った相手が、次はどこかで同じように譲って、その相手は今度は...と連鎖して、いつかは私が急いでいる時に譲ってもらえるのでは?と期待してのことでもある。

 こんな話をしたのは、本書で著者が言いたいことは、そういうことだと思うからだ。「他人に優しくすると、それは連鎖していずれはあなたにも返ってくる。だからまず、あなたから誰かに優しくしましょう。」そして、その連鎖が拡がれば、世の中全体が優しくなるはず、とも言う。
 著者は、本書のタイトルと同じ「優しさ研究所」というブログを運営していて、本書はその記事を書籍化したものだ。その中で度々「優しさの連鎖」という言葉を使って、上に書いたことを訴えている。コンビニの店員や学校の事務員として働きながら、「どうしたら他人に優しいか」を考え実践したことの記録が綴られている。車で道を譲るエピソードもある。著者の方が、私より思いやりが一枚上だけれど。

 まぁ正直に言って、本書は書籍としての完成度は低いと思う。ブログの記事が基になっているので、日付が入っているのだけれど、それが行ったり来たりしていて読みにくい。テーマごとに記事をまとめる意図があるようだけれど、そのテーマが分かりづらい。「くり返し」だと感じることも多い。
 それに、書いてあることの中には頷けないものもある。それでも、できれば多くの人にこの本を読んでもらいたい。それで、一人でも多くの人が「優しさの連鎖」の起点になればいいと思うからだ。読まないとしても、せめて「他人に優しくする」ことを始めて欲しい。著者の意図はそこにあるはずだから。

 私にはもう1つ決めていることがある。「頑張っている人を応援する」ということだ。
 この後は、書評ではなく。「頑張っている人を応援する」について書いています。お付き合いいただける方はどうぞ

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 「自分以外はみんなバカ」という言葉をご存知でしょうか?似た言葉をサブタイトルに付けた本があるそうですが、その本のことではなくて、世の中の風潮を表す言葉としてです。テレビをつけると、政治家やキャスターやコメンテーターが出てきて、口を開けば誰かの批判・悪口ばかり。
 「私は正しい、あいつらは分かってない」と言いたいらしい。そんな風に思うことがあります。テレビだけじゃなく、私の周囲にもそういう人はいます。年齢問わず大人から子どもまで、もちろん性別も関係なく。聞いていて気持ちのいいことではありません。普通は害もないのですが、困ることもあります。

 例えば、誰かが街のためになればと、何か良いことをやったとします。すると何処かから「あんなことをやったって(大した効果はない)」とか「あのセンスは最低だね」とかいう言葉が聞こえて来るんです。ひどい場合は「あいつは自分だけ目立って儲けようとしている」なんてことまで...悲しいことに...。
 頑張っている人がいるのに、批判・悪口ばかり言う人が寄ってたかってダメにしてしまう。(本書もそういう人にかかれば、散々な言われ方をすると思うんです。)応援していけば、街がドンドン良くなったかもしれないのに、と思うと大きな損害じゃないでしょうか?

 そんな想いから「頑張っている人を応援する」と決めたんです。傍目八目というように、傍から見ると当事者よりも色々とよく見えるので、批判するのは簡単だし、偉くなった気がして気持ちいいし、批判したくもなります。私だって例外ではありません。だからその誘惑に負けないように、ある時「私は、頑張っている人を応援するんだ」と、敢えて決めたんです。

7つのコメントが “優しさ研究所”にありました

  1. なんちゃって読書人

    頑張っている人を素直に応援・賞賛できることは
    すばらしいことですし、そういう文化を作っていく
    ことが必要だと思ってます。

    少し前にメディアを騒がせた「伊達直人」の件も
    寄附をしたり、ボランティアをする善行が、ちょっと
    恥ずかしかったり、人から後ろ指を指されるために
    仮名を使っていたのだとされています。

    良いことは良い、頑張ったことを頑張ったと
    賞賛できる、そんな当たり前なことがなかなか
    できない・・。

    だから、気づいた人がやっていくしかないですよね。
    私も「頑張っている人を応援する」実行します!

  2. YO-SHI

    なんちゃって読書人さん、コメントありがとうございます。

    そして「頑張っている人を応援する」にご賛同いただき、
    ありがとうございます。

    当たり前のことがなかなかできない..ホントにそうです。
    おかしなことになっています。

    仲間がひとりできてよかったです。うれしいです。
     

  3. 片木

    「優しさ研究所」。このタイトルに座布団1枚ですよね。私も微力ながらブログ「活力のタネ」で一人でも多くの人に活力を、と頑張っております(苦笑い)。

  4. YO-SHI

    片木さん、コメントありがとうございます。

    タイトルが、内容をうまく表していると思います。

    「一人でも多くの人に活力を」素晴らしいです。
    頑張ってください。応援させていただきます。
     

  5. 優しさ研究所

    『本読みな暮らし』様にてご紹介いただきました☆

    紹介記事の連投になってしまいますが、日本ブログ村の「本」カテゴリー、「書評・レビュー」カテゴリーで堂々1位に輝いている書評ブログ『本読みな暮らし』様にて『優しさ研究所』を紹介していただきました。
    『優しさ研究所』紹介記事へのリンク
    読みたい本、読まな……

  6. こちゅ(高橋幸路)

    お世話になっております。
    『優しさ研究所』の高橋幸路と申します。

    YO-SHI 様
    今回は本当にありがとうございました。
    「本読みな暮らし」様で紹介していただいた旨を記事にしましたので、トラックバックさせていただきました。
    YO-SHI様の書評を通して思ったことなどもそちらに書かせていただきました。
    今後益々のYO-SHI様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
    これからも何卒よろしくお願いします。

    なんちゃって読書人 様
    「伊達直人」の件はおっしゃるとおりで、実名で善行をすることに抵抗のある方にとっては、便乗しやすかったでしょうね。
    それでもなかなかできることではありませんし、素直にそういったことについて良いという文化を作っていけたらいいと私も思いました。
    「読書交流会」のページも見させていただきました。
    素敵な活動をしていらっしゃいますね☆
    ブックマークに登録させていただきましたので、これから覗かせていただきます。

    片木 様
    座布団ありがとうございます。
    山田くんに持っていかれないように大切にします(笑)
    と、冗談めかしたことを考えながらブログを覗かせていただきましたが、とても読み応えのあるブログでビックリしました。
    これからじっくり読んで、勉強させていただこうと思います。

  7. YO-SHI

    こちゅ(高橋幸路)さん、コメントありがとうございました。

    「優しさ研究所」のブログの記事も拝見しました。
    高橋さんから、「YO-SHI様の優しさが伝わってきました」
    と言われると、専門家に認められたようなうれしさがありますね。

    コメントをいただいた他の方にも返答のコメントをいただいて、
    ありがとうございます。さすがの気配りですね。勉強になります。

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