特集「子ども向けの本」

 先日、東京近郊にお住まいの方からメールをいただいて、2つお願いをされました。1つは、これまでどおり読書をして欲しい、もう1つは子どもの本を特集的に取り上げてもらえないか、ということです。

 1つ目は、奇異なお願いに聞こえるかもしれませんが、、「震災前と同じ」状態が落ち着きを取り戻してくれるのだそうです。おそらく私が以前に「本の感想なんか書いていていいのか?」と記事に書いたことが発端なのでしょう。
 直接の被災者でなくとも、地震の後では心理面を含めて生活が変わってしまいました。特に関東ではその影響はとても大きい。そんな時に「前と同じ」日常が感じられることは、とても大事なことなのかもしれません。
 私がこれまでどおり本を読んで、ブログに記事を載せることが、誰かの安定・安心に役に立つなどと、おこがましい気持ちは今もありません。しかし、私の記事を望んでくれる人が1人でもいることが分かって、私はとても勇気付けられました。この場を借りて、ありがとうと言いたいです。

 2つ目は、この方は本の取次のお仕事をされていて、被災地域から避難されている方を受け入れている県から、子どもの本についての需要や問い合わせが増えているからだそうです。それで、その問い合わせへの対応の参考にしたいので、良い本を何冊か選んで欲しい、ということです。
 それにお応えして、中高生向け10作品、小学生向け10作品を選んでみました。私は、面白そうだと思えば、児童書でもなんでも読みます。二人の娘が小学生だったころから、娘が借りてきた本を横から取って読んだりもしました。

 ただ、あくまでも自分のために読んでいただけなので、子どもの意見を取り入れるために、選書に当たっては中学生の娘の意見を聞きました。また、これとは別に子どもの本についての経験がある方に、SNSを通じて協力をお願いしています。その方々の選書が出来次第、この記事からリンクを貼ることになっています。
 もしこの記事を読んで、ご協力をいただける方が他にいらっしゃれば、メールでご一報くださるとうれしいです。

 ※ご協力いただいた方の記事へのリンク
 小学校での本の読み聞かせの活動を10年も続けていらっしゃる、るるる☆さんが、小学生向けの本を選んでくださいました。
  rururu☆cafe:「一日も早く穏やかな日常を・・・子どもの本あれこれ」

■中学生・高校生向け■

  タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
シアター! シアター!2 / 有川浩 シアター! (メディアワークス文庫)
小劇団「シアターフラッグ」の劇団員ら11人の若者が描く群像劇。それぞれが胸に秘めた想いや恋心が衝突や共感を生む。これが「ドラマ」これが「青春」
夜のピクニック / 恩田陸 夜のピクニック (新潮文庫)
高校3年の秋の1日、丸一日をかけて80kmを歩き通すという学校行事「歩行祭」が舞台。恋愛や友情、人間関係の悩み、葛藤。青春時代の経験があふれ出す。
バッテリー(1)~(6) / あさのあつこ バッテリー (角川文庫)
野球に純粋な天才中学生投手を描く。頑ななまでに純粋であるために、周囲とは衝突してしまう。大人には分からない、少年のやわらかい心に少し触れられる。
青い鳥 / 重松清 青い鳥 (新潮文庫)
ひとりぼっちの子どもにそっと寄り添う教師の話。子どもの心を丁寧に描く。子を持つ私にはつらいほどに、心の深いところに届く物語。
有頂天家族 / 森見登美彦 有頂天家族 (幻冬舎文庫)
京都の街に住む、狸たちが巻き起こす奇想天外な物語。偉大な父の跡を継いだ、ちょっとずつダメな狸の4人兄弟。ちょっとだけホロリとして、その他は笑ってください。
ドミノ / 恩田陸 ドミノ (角川文庫)
玄関ポーチに何気なく置いたビニール傘が発端になって、次々と事件が起きる。27人と1匹?が織り成すノンストップコメディ。理屈抜きに楽しんでください。
狐笛のかなた / 上橋菜穂子 狐笛のかなた (新潮文庫)
里のはずれで祖母と暮らす不思議な力を持つ少女と、森の中で暮らす少年と、霊力を持った狐の子。3人の運命が縒り合わされる、独特なアジアンファンタジー。
戸村飯店青春100連発 / 瀬尾まいこ 戸村飯店青春100連発
大阪の下町の中華料理店の、要領が良くていい加減な兄と真面目な弟。吉本新喜劇、アメをくれる近所のおばちゃん。大阪の町が育んだ家族愛の物語。
君に届け / 椎名軽穂 君に届け 1 (君に届けシリーズ) (コバルト文庫)
見た目が暗くクラスに馴染めない女子高校生。彼女に普通に接するクラスの人気者の少年。その他のクラスメイトたちとの衝突や友情と成長を描く。
10 都会のトム&ソーヤ / はやみねかおる 都会のトム&ソーヤ(1) (YA!ENTERTAINMENT)
御曹司で天才、容姿端麗な創也と、どんな状況でも切り抜けられるサバイバル能力を持った内人。2人の中学生が巻き起こす、都会派冒険ミステリー。

 左端の数字は項番であって順位ではありません。結果的に「中高生も楽しめる一般書」と「大人も楽しめるYA書」が混在して並ぶことになりました。ちなみに9、10は娘の選です。

 状況を考慮して地震や津波、火事などの災害が起きたり、親しい人の死があったりする作品は極力排しました。しかし、見落としがあるかもしれません。もし、このリストを参考にされる場合は、可能な限り子どもたちの様子に注意が行き届くよう、考えていただけると良いかと思います。

■小学生向け■

  タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
エルマーのぼうけん / ルース・スタイルス・ガネット エルマーのぼうけん
主人公のエルマーは、とらわれた竜を助けるために、ひとりジャングルに忍び込む。たくさんのキケンな動物たちを、どうやって切り抜けていくのか。全3巻
「ちいさな王さま」シリーズ / 寺村輝夫 はらぺこ王さま ふとりすぎ (ちいさな王さまシリーズ (1))
ちいさな王さまは、王さまでありながらなにひとつ自分で決めることができず、いつもだいじんに命令されてばかり。そんな王さまが引き起こす騒ぎがおもしろい。全10巻
「まじょ子」シリーズ / 藤真知子 まじょ子どんな子ふしぎな子―まじょ子2in1 (ポプラポケット文庫)
まじょ子ちゃんはいたずらが大好きな魔女の女の子。人間の女の子をさそって、ゆうれいたいじをしたり、おかしの国へいったり・・・。元気な冒険シリーズ。49巻
「モンスター・ホテル」シリーズ / 柏葉幸子 モンスター・ホテルでおめでとう (どうわはともだち)
いまにもたおれそうなビルのモンスター・ホテルを舞台に、おそろしいおばけとは程遠い、やさしいモンスターたちのにぎやかな日常が繰り広げられるシリーズ。全10巻
「フェアリー・レルム」シリーズ / エミリー・ロッダ フェアリー・レルム (1)
主人公のジェシーが妖精の王国「フェアリー・レルム」で、かわいい仲間と冒険をする。エルフ、おしゃべり子馬、花の妖精やユニコーンも登場するにぎやかなシリーズ。全10巻
「こそあどの森」シリーズ / 岡田淳 ふしぎな木の実の料理法 (こそあどの森の物語 1)
変わり者だがあたたかい人びとが住む「こそあどの森」では、いつも不思議なことがおこる。調理法がわからない木の実がおくられてきたり・・・。シリーズものです。10巻
床下の小人たち / メアリー・ノートン 床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫)
家の床下で、必要なものを人間たちから借りてき暮らす小人の家族。ある日、小人の少女アリエッティが人間の男の子と出会ってしまいます。小人の冒険シリーズ全5巻
モモ / ミヒャエル・エンデ モモ (岩波少年文庫(127))
話を聞くだけで人のなやみを溶かしてしまう不思議な少女・モモ。彼女が住む街に、人びとの時間をうばってしまう「灰色の男たち」があらわれる。モモは時間をとりかえせるのか。
ホビットの冒険 / J・R・R・トールキン ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)
「指輪物語」に先立つ、魔法使いのガンダルフやドワーフたちとのホビットのビルボの、ハラハラドキドキの冒険物語。ドラゴンに奪われたドワーフの財宝を取り返しに行きます。
10 魔女の宅急便 / 角野栄子 魔女の宅急便 (福音館創作童話シリーズ)
魔女としてひとりだちすることを決めたキキは、たどりついた街で「魔女の宅急便」をはじめる。ほかの魔女と出会ったり、恋をしたりして、成長していくシリーズ。全6巻

 私が読んだことがあるものばかりです(シリーズのものは、全作品は読んでいないですが)が、すべて娘が選びました。紹介文も娘に書いてもらいました。大まかに言って、上の作品の方が低学年向けです。
  

2つのコメントが “特集「子ども向けの本」”にありました

  1. rato

    ご無沙汰しております
    ツイッターで拝見して久しぶりにきて深く考えさせられました
    私は子どもの本の、どちらかと言うとヤングアダルトの勉強を続けています
    ただ、この自然からの被害と、人的被害(原研)の甚大さに
    何かしたくともできない、あまりのことの大きさに
    ただただ祈るだけの日々でしたので
    恥ずかしくなりました
    人がどう思おうと、自分に出来ると思うことをするべきなのだと思いました
    もし何かお力になれるようでしたらいつでもお声をかけてください
    未熟ではありますが。。。
    そして、これからもブログ頑張ってください

  2. YO-SHI

    ratoさん、コメントありがとうございます。

    「ただただ祈るだけの日々」を恥ずかしく思うことはないんじゃないですか。
    私を含めて大多数の人にできることは、そんなに多くなかったと思います。
    正直に言って、祈るぐらいしかできない。これまでは。

    しかし、地震から10日経って、農産物への放射線の影響が報道されて、
    関心が「自分の安全」に急速に向かっているように思えます。

    でも、被災地への復興支援は、これから長丁場になるはずです。
    これから、できることがいくらでも出てくると思います。

    ratoさんが、よいYA本を紹介する記事をブログに書いていただければ
    この記事からリンクさせていただきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です