虚像の道化師 ガリレオ7

著 者:東野圭吾
出版社:文藝春秋
出版日:2012年8月10日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 著者の人気シリーズ「ガリレオ」シリーズ7作目。短編集としては4作目。順番が逆になってしまったが、少し前にレビュー記事を書いた「禁断の魔術 ガリレオ8」の一つ前の作品になる。文芸誌に掲載された「幻惑す(まどわす)」「心聴る(きこえる)」「偽装う(よそおう)」「演技る(えんじる)」の4つの短編が収められている。

 「新興宗教の教祖が行う秘儀」「頭の中で声が響く幻聴」というオカルトめいた2つの事件と、「散弾銃による殺人事件」「ナイフで胸を一突きされた殺人事件」というノーマル?な2つの事件。天才物理学者の湯川と、その友人で刑事の草薙のコンビが、それぞれの事件の真相を解明する。

 オカルトめいた2つの事件は、湯川の物理学者としての知識が真相に導く。ノーマル?な2つの事件を解決したのは、湯川の類まれな観察力。不可能犯罪を、物理学者ならではの知識で解決するのが、このシリーズの特長だけれど、観察力で解決する方も読み応えがある。

 それから、単なる「謎解き」だけではなく、時々人情話が絡んでくるのも、このシリーズの特長で、「心聴る」はなかなか良かった。ただこの作品には、正直に言ってちょっと不満も感じた。犯罪に利用された装置が現実離れしてしまうと、真相が明らかになっても、胸にストンと落ちない。

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虚像の道化師 ガリレオ7”についてのコメント(1)

  1. じゅうのblog

    『虚像の道化師 ガリレオ7』 東野圭吾

    嫁さんが図書館から借りてきてくれていた「東野圭吾」の「ガリレオシリーズ」短編集『虚像の道化師 ガリレオ7』を読みました。
    [虚像の道化師 ガリレオ7]
    「東野圭吾」作品は『時生』以来ですから約1ヵ月振りですね。
    —–story————-
    「東野圭吾」の代表作、「ガリレオシリーズ」の最新短編集。
    ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。
    その場にいた者たちは、男が何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りたと証言し、教祖は相手に指一本触れないものの、自分が強い…

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